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第百十一話 ポケットの中の薬その十一
「ところでさ」
「そのドリンクだけれど」
「ああ、二人共」
「いたの」
 ようやく二人に気付いたといった感じのテンボとジャッキーであった。丁度その青いドリンクをまた一気飲みしたところであった。
「そういえばさっき何か話してたよな」
「そうだったわね」
 さっきの殺人事件のことはもう忘れてしまっていた。
「何だったんだ?」
「何か事件があったような気がするけれど」
「もう忘れてるし」
「どんな記憶力してるのよ」
 まずは都合の悪いことは瞬間的に忘れることのできる二人の素晴らしい記憶力に唖然とさせられる。だから学校の成績も凄いことになっているのだ。
「まあとにかく」
「そのドリンクだけれど」
「ああ、これか」
「美味しいわよ」
「どう美味しいの?」
 ベッカはこのことを二人に尋ねた。
「どんな味なの?一体」
「甘いよな」
「そうよね」
 テンボとジャッキーはそれぞれ顔を見合わせて話をする。
「チョコレートみたいな味でな」
「もっと飲みやすいし」
「チョコレート!?」
「青いチョコレートみたいなものね」
 連合にはそんな食べ物もあるのである。他には緑や紫のものもある。
「じゃあそんな味なんだ」
「美味しいの」
「できればもう一杯欲しいんだけれどな」
「お金がね」
「そうなんだ」
「ああ。それに」
「何か」
 ここで二人の目がとろんとしてきた。
「眠くなってきたよな」
「何でだろ」
「悪い、じゃあこれでな」
「帰るわ」
 と言いながらもう寝てしまった。アスファルトの上にそのままだ。
「うわ、寝ちゃったよ」
「それもこんな所で」
「効いたわね」
 アンジェレッタは地面の上で寝てしまった二人を見て静かに微笑んでいた。
「やっぱりお父さんとお母さんのドリンクは最高ね」
「まさか本当に効果があるなんて」
「この二人に」
「一杯だったら自信がなかったわ」
 ここで言うアンジェレッタだった。
「けれど二杯飲んだからね。それが聞いたのよ」
「二杯が決め手だったんだ」
「さっきので」
「ほら、フランツのケースがあるじゃない」
 アンジェレッタも二人と同じことを考えていたようである。
「ああいう感じで効かなかったらって思ったんだけれどね」
「見事に効いたね」
「それもこんなに」
「さて、騒動は終わりね」
 アンジェレッタは二人に顔を向けて言ってきた。
「これでね」
「ええ、そうね」
「これでね」
 二人も彼女の今の言葉に頷く。
「じゃあ帰るの?」
「私達はそれでいいけれど」
「まだ何かあるの?」
 アンジェレッタはまだ何か言いたそうな二人に対して怪訝な顔を見せて問うてきた。
「騒動は終わったのに」
「だからさ。倒れているこの二人」
「どうするのよ」
「ああ、そういえばそうね」
 言われてそのことに気付く始末だった。
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