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第十四話 消える魔球その六
「見事ね、それは」
「そうだったの」
「普通の人には見えないんじゃちょっと」
「ロザリーでも無理ね」
 ナンは言った。
「あれじゃあ」
「そうなんだ」
 正孝はそれを聞いて言った。
「それじゃあハーバンさん」
「私!?」
「よかったら審判代わって。僕にも見えないから」
「ちょっと待て、じゃあ今のはどうなるんだ!」
 フランツがそれを聞いて問う。
「だから無効」
 正孝はそう答えた。
「審判が見えないんだから」
「おい、こんなボールがそうそう投げられるか!」
 フランツはそれを聞いてさらに叫ぶ。
「一六〇キロ越えているんだぞ!」
「それって本当に高校生のボールなのかな」
「常識外れの身体能力だからやれるんでしょうね」
 スターリングと蝉玉がそれを利いて呟く。
「とにかくもう一球」
 正孝はフランツに有無を言わせない。
「それでいいね」
「うう・・・・・・」
 彼ですら審判には逆らえない。ここは従うしかなかった。
 こうして審判が交代して仕切り直しとなった。ロザリーもフランツもあらためて勝負となった。
「色々あったが行くぞロザリー!」
「ああ、来な」
 ロザリーも受けて立つ。
「あんたのボールの弱点はわかったよ。あたしの勝ちだ!」
「何だと!?」
「わかったから投げて来るんだ!絶対に勝つ!」
「言ったな!なら!」
 その言葉にカチンときた身体を炎が纏う。
「行くぞ!インビシブルボール!」
 振り被り、脚を高々と掲げて投げる。だがそれは。
「ボール!」
 主審になったナンが答えた。
「なっ、ボールだと!?」
「よかったらビデオ見る?ビデオさん」
「おうよ」
 審判部にはビデオ班まである。これで公平かつ合理的なジャッジを進める為だ。この時代は間違っても特定の球団に有利なようなジャッジは行われない。若しそんなことが発覚すればその審判は審判たる資格を剥奪され永久追放処分となることが定められている。
 ビデオ班の判定もボールであった。ナンの目に狂いはなかった。
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