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第百四話 研究所の前でその七
「凄い距離・・・・・・」
「話は聞いたけれど本当に凄いわ」
 その遠投を見ての皆の言葉である。
「あんなに投げるなんて」
「身体能力は確かに凄いのね」
「俺は最高のピッチャーだ!」
 投げた後でガッツポーズをして叫んでいる。
「それがここでも確かになった!どんな強打者も恐れることはない!」
「それはわかったけれど」
 カトリがその横で本を見つつ言う。
「とりあえず投げたけれどこれで本当にあの人本に飛びつくのかしら」
「大丈夫だよ」
 だがここでマルティが彼女に言ってきた。
「それは。確実に」
「確実なの?」
「あの人の主食は本だし」
「山羊ね、まるで」
 カトリだけでなく他の皆もそれを聞いて絶句だった。
「変な人だとは思っていたけれどそれでも本を食べる人だなんて」
「やっぱりあの博士に匹敵する奇人変人ね」
「まあ何はともあれ」
 状況を見守っている。
「どうなるかしら」
「博士のところに向かうかしら、本当に」
「あれは」
 ここでシャバキは本に気付いたのだった。
「間違いない。本だ。しかも」
 反応していた。眼鏡の奥の目が光っている。
「予言の本だ!ノストラダムスだ!」
「本当に反応してるけれど」
「冗談抜きで人間なのかしら」
 皆本当に本に飛んで行くシャバキを見て言う。
「ノストラダムス!ノストラダムス!!ノストラダムスーーーーーーーーーーーッ!!!」
「何、あの絶叫」
「薬じゃないわよね」
 シャバキは薬の類はやっていない。ただ脳内に自然とそういった類のものが常時多量に分泌されているだけだ。だから常にこうなのだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
 奇声を発しつつその本に向かう。そうして遮二無二本を貪り食いはじめたのだ。それはまさに肉食動物が生の肉を喰らうその姿であった。
「美味い、美味いぞ!最高だ!」
「美味しいの?」
「さあ」
 皆本なぞ食べはしないのでそれはわからないのだった。
「やはり本は最高だ!ノストラダムスは最高の予言者だ!」
「人類の敵ってさっき言っていたような」
「何でそれが変わるんだろ」
「人類の救世主!永遠のアイドル!」
 脳内の麻薬が異常に分泌されている。
「この味こそが最高だ!俺は俺に褒美を与える!」
「まあとりあえず食べているわね」
「食べている姿も異常だけれどね」
 皆シャバキの食べる姿に絶句している。しかし話はこれで終わりではなかったのだった。 
 ここで前から何か出て来た。それは」
「あれは」
「ロボット?」
 そう、ロボットが出て来たのだ。四本足で手に刀やボウガンを持っている一つ目のロボットだ。どう見ても平和目的のロボットではない。
「あの博士つくづく法律知らないみたいね」
「ああいうのも作ってたんだ」
 連合の法律ではロボットは平和利用若しくは軍事目的以外で武器として使用することは禁じられている。これを破った場合は死刑も充分考えられる重罪とされている。博士はそうした法律は最初から守っていないのだ。何しろ千年以上前から破壊だけを目的にロボットを作ってきた人であるからだ。
「何はともあれあれが出て来たってのことは」
「かなりまずいわね」
「確かに」
「大丈夫です」
 皆が身の危険を感じているその時にセーラがまた言ってきた。
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