第十四話 消える魔球その一
消える魔球
クラスきっての熱血漢フランツは今日も燃えていた。
「うおおおおおおおっ!俺はやるぜ!」
何かわからないうちに勝手に教室で一人燃えていた。
「何してんの、今度は」
「ゲームしてるのよ」
彰子が蝉玉に囁く。
「ゲーム一つやるのにあんなに燃えるの?」
「何か運動会ゲームらしいけれど」
「ふうん」
「ここだ!ここで決めてやる!」
全身を派手に動かしながら自分の机の上でゲームをしている。
「そして!今こそ!」
立ち上がって訳のわからない投球フォームに入った。画面は見ていない。
「必殺!ノーザンライトコホーテクアンドロメダスキュリューーーアターーーーーーーーーック!!」
どういう技か全くわからないがとりあえずは技の名前を叫んだ。そしてコントローラーを乱打しながら跳ぶ。
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「いい加減にしなさい!」
だが着地したところでエイミーから怒りのジェットアッパーが跳んだ。
「ぐおっ!」
宙に舞い天井にぶつかった後で床に叩き付けられるフランツ。だが全く平気であった。
「一体何をするんだ、ゲーム中に」
「本当にゲームしていたの、今まで」
「これがゲームじゃなきゃ何なんだ」
彼は反論する。
「俺はちゃんとゲームをしていたんだぞ」
「嘘言いなさいよ。暴れてただけじゃない」
「何っ、じゃあエイミーはゲームは静かにするものなのか!?」
「・・・・・・あのね、あんた」
疲れを覚えながらも彼に応える。
「何処の世界にそうやっていちいち暴れたり叫んだりしてゲームする人間がいるのよ」
「それがゲームだ!」
フランツは力拳を入れて語る。
「ゲームは全て!全てを賭けてこそのゲームなんだ!」
「それは野球じゃないの?」
「野球もそうだ!俺はやると決めたら全てのことにありったけの情熱を注ぎ込む!俺はやるぜ!」
「やるのはいいけれどね」
エイミーは言う。
「それでも限度ってのがあるでしょ」
「それは違う、エイミー」
フランツはそれに反論する。
「人間は限度を越えたところにあるんだ。そこから何かを掴むんだ」
「馬鹿になったらどうするのよ」
「もうとっくの昔に馬鹿よね」
「ありゃどうしようもねえぞ」
クラスメイト達がエイミーの言葉を聞いて囁く。フランツが馬鹿かそうでないかは言うならばその日に太陽が昇らないかどうかを話すようなものなのだ。太陽は雨の日でも雨雲の上に昇っている。そしてフランツもまた。彼は常にこうなのだ。答えは決まっていた。
「馬鹿!?褒め言葉だ!」
自分でも言い切った。
「俺は何処までも行ってやる!そして目指すは!」
「何なのよ」
「ゲーマーの星だ!父ちゃん、俺はやるぜ!」
「どうでもいいけれど電池切れてないか?」
「あっ、本当だ」
亮神の言葉にセドリックが頷く。
「あれだけ派手に動かしていたから消費が激しいみたいだね」
「普通の十倍は使っているからなあ、乱暴に」
「くっ、いっそのこと核融合のゲーム機を買うか」
「そういう問題じゃないでしょ」
またエイミーが突っ込んだ。
「そもそも落ち着いてゲームした方がよくない?」
「それだと駄目なんだよ、俺は」
フランツは言う。
「身体を動かして叫んでからじゃないとな」
「そうなの」
「ああ。だから思いきりやってやるんだ」
そう主張する。
「そうじゃないとゲームは面白くないからな」
「けれど迷惑なのよ」
エイミーは正論で突っ込む。
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