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第百二話 いざ集結その四
「あの人って正義の味方だったの?」
「ましてや」
 シャバキといえば連合において天本博士と並ぶ奇人変人である。石が道にあるのを見ても空に雲があるのを見ても宇宙の星が輝いているのを見てもそれが宇宙や人類滅亡の序曲にしてしまうような人間なのだ。その断言には最早誰も突っ込みはしないことでも有名だ。
「あの人って今確か」
「精神病院に隔離されてなかったっけ」
「確かね」
 それが何故かはもう言うまでもない。
「あれだけ無茶苦茶言っていたらねえ」
「何か隔離されていてもあんなのらしいけれど」
 それがシャバキなのである。
「その人がどうしてここに?」
「それでヒーローなの?」
「決まってるだろう」
「そうよ」
 二人の超絶推理は続く。それが正解かどうかは全くの別問題である。
「絶対断言の予言ハンターというのは仮の姿」
「予言ハンターね」
「そういえばあの人職業何だったっけ」
 皆ここでも疑問に思うのだった。シャバキはメディアに頻繁に出没し本も数多く出版しており自分のサイトやブログでも毎日発言している。しかしその職業が何かと問われると皆返答に窮してしまうというのが現実なのであった。変人というものが職業なら話は別なのであるが。
「患者じゃないの?」
 誰かが言った。
「あの人の職業って」
「患者って職業なの?」
「さあ」
 実に無責任な返事であった。
「多分違うけれど」
「そういえば博士についても言っていたっけ」
「知識だけは凄い人だからね」
 問題はその使い方なのであるが。知識はただ持っているだけでは駄目だ。しかしより重要なのはその使い方なのである。特にシャバキに関してはそうである。
「何でも一万人委員会の筆頭委員長らしいわよ」
「何よ、その一万人委員会って」
「世界を裏から操る謎の秘密結社らしいわよ」
 また随分と胡散臭い委員会である。
「あの人の話だと。うちの理事長もそのメンバーなんだって」
「嘘でしょ」
「あの人は本当だって言っているわ」
 これが現実であった。
「だから理事長と博士は裏で結託してるんだって」
「超絶的な解釈ね」
「まあそれでね。博士は他の知的生命体に人類を売ろうとしているんだって」
「あれっ、確か」
 ここで矛盾に気付く人間がいた。
「博士って人類を滅亡させようとしているんじゃないの?」
「一万人委員会だって確か」
 しかも矛盾は一つではないのであった。
「前は九千人委員会じゃなかったっけ」
「千人増えてるわよね」
「しかも一万人委員会って宇宙を征服しようっていう組織じゃなかったっけ」
「何で本やその場その場で言ってることが違うのかしら」
 これがシャバキの特徴の一つであるのだ。
「記憶力ないのかしら」
「っていうか過去は振り返らないんでしょ」
「そうなの?」
「そういうことにしておかないといちいち考えてられないわよ」
 シャバキについてはそうなのである。
「あの人の場合は」
「道理でずっと隔離されてる筈ね」
「この前脱出したけれどね」
 隔離されていてもそれで安心できる御仁ではないのがまた悪質なのだ。シャバキはそうした事態を国家権力の謀略だと考える性質の人間なのだ。己の発言や行動がどれだけ異常かということは全く考慮しない。というよりは考える機能が最初から備わっていないのである。
「それでテレビの番組勝手にジャックして大暴れしていたっけ」
「そうだったわね」
「それでまた変なこと言っていたし」
 それが彼なのである。
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