第九十九話 先生の顔その一
先生の顔
プリシラの大きな仮説、それはこういうことだった。
「変装!?」
「ええ、そうよ」
プリシラはジュデイとローリーに対して答えていた。そのポーカーフェイスで。
「先生は変装している可能性があるわ」
「変装か」
タムタムはここでようやくといった感じでまた口を開いてみせた。
「あの先生がな」
「ロシュフォール先生の日常生活には謎の部分が多いわね」
プリシラが次に指摘するポイントはここだった。
「それもかなり」
「それもあるな」
タムタムもそこに気付いた。ローリーとジュデイもまた。
「そういえばそうだよね」
「ええと、風紀部部長で」
白い影の首領である。ロシュフォール先生という人物について語る時には決して欠かすことのできないキーワードである。そう、決してだ。
「それ以外は?」
「それ以外!?」
「そう、それ以外よ」
プリシラはあえてここを強調するのであった。
「何かわかっていることはあるかしら」
「そういえば少ないね」
「そうね」
他の三人も今このことに気付いた。気付いてそれぞれの顔を見合わせるのだった。
「正体不明って感じだよね」
「ええと。担当の教科は?」
教師ならば必ず担当する教科がある。それについて考えを及ばせた。
「何だったっけ」
「知らないな、そういえば」
タムタムが言った。
「そもそもどの授業を教えているんだ、あの先生は」
「高等部の先生よね、確か」
ジュデイはこれは知っていたのだった。何とかといった感じで。
「けれど商業科?工業科?」
八条学園は普通科以外にも実に様々な学科があるのだ。その数はかなりのものに及んでいるのである。マンモス学園であるだけのことはあるのだ。
「何処の先生なのかしら」
「ドードーをペットにしておられるだけで何かそういうのは」
「部活何処の顧問なんだろ」
ローリーはそれについても考えを及ばせた。
「先生ならやっぱり絶対顧問している部活あるよね」
「そういったことが一切わかっていないわね」
ここでプリシラが述べた。
「おかしいわよね、全てが」
「おかしいってものじゃないわよ」
ジュデイの顔が怪訝なものになっていた。
「担当の教科も顧問も何処の所属かもわからない先生なんて」
「待てよ、そういえば」
ローリーがまた気付いた。
「あの先生何処の職員室なんだろ」
「不明よ」
プリシラが答える。
「そこのところもね」
「何かもう無茶苦茶じゃない」
ジュデイのたまりかねた言葉だった。
「現地調査するにしてもそんなので何かわかるのかしら」
「わかるわ」
プリシラの返答である。
「確実にね」
「わかるの」
「最初は何もわからないものよ」
プリシラのクールな言葉が続けられる。
「それでも少しずつわかっていくものだから」
「そうだな」
タムタムが今のプリシラの言葉に頷いた。
「少なくとも先生がドードーを飼ってるのはわかったしな」
「ドードーねえ」
ドードーはペットとしてはわりかし人気のある鳥である。丸々としていて可愛いというのである。とりわけ女の子間で昔から人気がある。
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