第九十五話 白い影その五
「素直に答えてどうするのよ」
「だってさ、本当のことだし」
「正直に答えていいことと悪いことがあるの」
ジュディはそこを力説した。かなり本気である。
「言っておくけれどね」
「そうだったんだ」
「この場合は正直に答えなくていいの」
そのうえでこう言う。
「そうかな」
「嘘をついていい場合といけない場合もあるけれどね」
ここはさらに強調する。どうも彼女なりの譲れないものがあるようだ。そのことを今彼に対してかなり強く言っていた。
「とにかく今回はね。今の言葉は致命的なミスよ」
「そうだったんだ、御免」
まずはそれを謝罪する。
「じゃあタムタムに関しては」
「これで終わりよ。残念だけれど」
「おい」
勝手に話をしている二人にタムタムが突っ込みを入れてきた。
「何?」
「俺はまだ何も言っていないぞ」
「あっ、そうだったの」
ジュディはここでようやくタムタムの言葉に気付いた。
「そういえばそうね。言われてみれば」
「で、どんな話なんだ?」
タムタムはそこを問う。
「当然話によるがな。正直に話してくれるならまず乗るが」
「うん。実はね」
ローリーはタムタムの今の言葉を受けて話そうとする。しかしここでちらりとジュディを見る。そのうえで彼女に少し尋ねる。
「正直に言うよ」
「ええ、どうぞ」
今回は彼女も穏やかだった。
「ここまで来たらね。いいわよ」
「うん。それじゃあ」
ジュディの言葉を受けたうえで話をはじめる。あの白衣の風紀部のことを調べるということを。ありのままタムタムに対して説明したのである。
「あの風紀部か」
「そうなんだ。あの風紀部ってよく考えたら謎ばかりじゃない」
「ああ、確かにな」
それはタムタムも知っていることだった。
「考えてみればかなりな」
「その素性を調べてみたいんだよ」
また素直に述べる。
「それでどうかな、協力してくれる?」
「そうだな。風紀部か」
「ここまで来たら仕方ないわよ」
ジュディも観念していた。
「正直なところ。あんたがノーって言ってもサンドイッチおごるから」
「イエスでもノーでもか」
「ええ。一応返事を聞きたいけれどどうなの?」
「返事か」
「どうするの?」
また尋ねた。
「それで」
「ああ。いいぞ」
その問いに即答してみせた。今の言葉はジュディにとっては意外なものだった。
「あの風紀部については俺も前から不思議に思っていたんだ」
「不思議って言えばそうだね」
そもそも神出鬼没で尚且つ何時何処で何をしているかわからない連中である。ローリーもそれを言うのだった。
「俺も協力させてもらう」
タムタムはあらためてそれを宣言した。
「是非共な」
「それじゃあサンドイッチね」
ジュディは笑顔でタムタムに告げる。
「おごるわ。約束だしね」
「ああ、悪いな」
「言ったことは絶対にする」
ジュディはにこりと笑ってタムタムに告げる。
「それが私の信条だからね」
「さっきのイエスでもノーでもって言葉だよな」
「そういうこと。だから」
「よし、じゃあ遠慮なくもらうぞ」
「どうぞ」
タムタムもまたにこりと笑う。こうしてまずは一人助っ人が入ったのだった。
白い影 完
2008・5・30
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。