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第十二話 本能には勝てないその五
「あの二人だけだったみたい。今回は私達の勝ちね」
「そうなの。だったら」
「まずはよしとしましょう」
「ええ」
「けれど」
 彼女達にはわかっていた。
「また来るでしょうね」
「そうね、あいつ等」 
 じっと男組を見据えていた。彼等もそれを受けている。
「今回はしてやられたな」
「くっ、敵もやるな」
 マルティが女組を見据え、ジョルジュが歯噛みしていた。
「僕の隠し撮りを見破るなんて」
「今回は二つとも失敗だ、残念ながらな」
「けれどよ、マルティ」
 フックが側に来た。
「これで諦めるつもりはねえだろ」
「勿論」
 マルティはそれに答える。
「この程度ではな」
「そうこなくっちゃな」
「じゃあ今度は」
 タムタムがすっと前に出る。
「ああ」
「俺もやらせてもらうぜ。頭脳には頭脳だ」
「相方は使わないのか?」
「あいつは駄目だ」
 マルティの言葉を受けてこう述べる。
「こういうことには真面目だからな」
「そうか」
「野球も大真面目なんじゃねえのか?あいつは」
 フックは何気なくそう述べた。
「だからあそこまで熱中してよ」
「問題はそれが完全に見当違いだということだが」
「まあな」
 それはもっともであった。
「あいつのあれはどうしようもねえか」
「つける薬もないな」
「厄介だな」
「そういえばあいつはかなり真面目にバスケやってるな」
 ジョルジュがふと気付いた。
「何か一人だけ」
「いや、ギルバートもいるぞ」
「暑苦しい奴だけか」
「やれやれだな」
「燃えろ俺のボール!!」
 フランツは空中に飛び上がり叫んでいた。
「海老反りハイジャンプ大回転分身シューーーーーーートッ!」
「させん!」
 訳のわからない必殺技をギルバートが防ごうとする。この滅茶苦茶な戦いに加わっているクラスのメンバーは殆どいなかった。誰もが己の欲望とそれへの護りに徹した戦いに参戦していたのであった。
「ねえねえアンジェレッタちゃん」
 彰子はその中戦いに気付くことなくアンジェレッタに声をかけていた。
「何?」
「ちょっと膝打ったんだけれど」
 そう言ってアンジェレッタに自分の膝を見せる。アンジェレッタはクラスの保健委員なのだ。そもそも頭が大丈夫かとい連中もいるがそれにはやはり薬はない。
「大丈夫かな」
「まあこの位だったらね」
 アンジェレッタは彰子の奇麗な膝を見て言う。少し赤くなっていた。
「何の心配も要らないよ」
「そう、よかった」
 その膝を遠くから見て悔しがる男達。
「ぬうう、このジョルジュ=ボーダン一生の不覚」
「彰子ちゃんの脚を狙えないとは」
 フックも同じ様子であった。
「まあ次だな」
 マルティは悔しがりもせずこう呟いた。
「次で決めるだけだ」
 そう言ってその場は引き下がった。だが戦いが終わったわけではなかった。


本能には勝てない   完


              
                  2006・10・20
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