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第九十一話 鼻が頼りその九
「確かアンジェレッタの」
「自分から言ってきたな」
「ええ」
 レミがマチアの言葉に頷く。
「確定ね。これで」
「何か俺に話があるみたいだな」
 少年は彼等の言葉のやり取りからそれを悟った。そのうえで声をかける。
「よかったら何処かで話をしないか?」
「うん、是非共」
 ジョンが彼に答える。
「僕達もそのつもりで来たんだ」
「わかった。何処がいいんだ、それで」
「それはそっちに任せるわ」
 レミが少年に答える。
「宜しくね」
「ああ、こっちもな」
 外見は少し怖そうだが中身はそれ程でもないようだ。穏やかに言葉をかけてきているし態度も友好的だ。何はともあれ彼等は場所を変えて話をするのだった。場所は学校の屋上だった。レミ達にとっては戻った形だ。
「ここでいいよな」
「ああ、別にな」
「ここが一番落ち着くしね」
 マチアとレミが少年に答える。
「それじゃあお話しましょう」
「ああ、まずは名乗るな。最初に言うがあんた達のことはもう知ってるさ」
「そうなの。じゃあ名乗らなくていいわね」
「ああ。俺はジョバンニ=ポンキエッリっていうんだ」
 こう名乗ってきた。
「アルゼンチン人さ。工業科の二年だ」
「工業科だったの」
「そうだよ。意外だったかい?」
「てっきりあのクラスの一員かと思ったわ」
 レミだけではなく他の面々もそれは同じだった。だがマチアもジョンも今はそれを言わなかった。レミが代弁しているからだ。
「あのクラスに入るのって嫌なのよね」
「ラビニアがいるからだよな」
「わかるの」
「ああ、知ってるさ」
 ニヤリとした笑みを浮かべてレミに答える。
「アンジェレッタからも聞いてるしな。それに」
「それに?」
「有名だからな」
 こう答えてきた。
「二年S1組とあのクラスの仲の悪さはな。工業科でも有名だぜ」
「何か変なことで有名になってるな」
 マチアはそれを聞いて顔を顰めさせた。
「何でまたそんなことで」
「しょっちゅう騒動起こしてるだろ」
 ジョバンニはこうマチアに答えた。
「だからだよ。そもそも」
「そもそも?」
「あんた達のクラス自体が有名だぜ」
 笑って三人に言った。
「それもかなりな」
「かなりだったの」
「知らない人間はいないって位にな」
「工業科でもなんだ」
 ジョンが彼に問うた。
「ああ、その通りさ。学校の中で一番有名なクラスだろうな」
「初耳だな」
「そうだね」
 今のジョバンニの言葉にマチアもジョンも顔を見合わせて言い合う。
「俺達はそんなに有名なのか」
「しかもいい意味で、じゃなさそうだね」
「わかるんだな、それは」
 しかもジョバンニはそれを肯定さえしてきた。
「やっぱり自分達でも」
「悪い意味で有名になっても仕方ないわよ」
 レミも憮然とした顔になっていた。
「何でまたそんなことで知られないといけないのよ」
「個性派ばかりだからな」
 ジョバンニは口を尖らせているレミに答えた。
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