ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第八十九話 アンジェレッタ地獄その二
「だから止めておいた方がいいわよ」
「歯に毛が」
「気持ち悪いでしょ、それって」
「気持ち悪いっていうかホラーよ、それって」
 それを想像して身の毛もよだつものを感じるレミだった。頭の中で口に毛が生えた光景を思うとそれだけで全身に鳥肌が立つのを感じたのだ。
「だから。止めておくことね」
「わかったわ」 
 アンジェレッタの言葉に頷く。
「流石にそれはね」
「そういうこと。それでマチア」
「ああ」
 今度はマチアに言葉を向けるのだった。マチアもそれに応える。
「少し塗るだけでいいから」
「額にか」
「そうよ。それだけでいいから」
 そう説明する。
「そうしたら生えるわ」
「よし、じゃあ」
「んっ?」
 アンジェレッタはマチアが指にその薬をつけたのを見た。
「あっ、つけたいところ以外に直接つけたら」
「何だ?」
「生えるわよ」
 そう言った瞬間だった。何と指に。
「お、おいこれって!」
「何よ!」
 レミも思わず叫んだ。
「指に毛が生えた!」
「まさかこれって!」
「即効性って言ったでしょ」
 アンジェレッタは平然とした様子で二人に対して告げる。
「すぐに生えるのよ。しかも効果が凄くて」
「それを早く言え!」
「だから。即効性だって言ったじゃない」
 またこう言うのだった。相変わらず平然とした態度で。
「だからよ」
「幾ら何でも効き過ぎだぞ」
「それ使う時は手袋とかが必要なのよ」
「そうだったのか」
「それもビニールのがね」
 ほぼ劇薬扱いだった。無茶苦茶な話だ。
「必要だったんだけれど」
「それも早く言えよ」
「忘れてたのよ」
 完全に他人事だった。無責任にも聞こえる。
「御免なさいね」
「何かあまり誠意の感じられない言葉だな、何か」
「じゃあ誠意出すわ」
 それに応えて出してきたのは。一つの丸い瓶だった。それをマチアに対して差し出すのだった。今度は青い瓶である。何故か不気味な印象がある。
「脱毛クリームよ」
「脱毛クリームまであるのか」
「当たり前でしょ。毛生え薬があるのなら脱毛クリームもあるわよ」
「そうよね」
 レミがアンジェレッタのその言葉に頷く。
「セットになってるものだし」
「そういうこと。セットは外さないわ」
 アンジェレッタは当然といった感じで述べるのだった。
「お薬ってね。互いの副作用を打ち消し合うのも大切なのよ」
「というか御前の薬は全部副作用が強過ぎるんだよ」
 マチアはまだ己の指に生えている毛を眺めながらアンジェレッタに言う。
「一体何処でこんなものが売ってるんだよ」
「色々」
「色々!?」
「そうよ。入手ルートは色々よ」
 また随分といい加減かつ不気味な言葉であった。
「合法ルートしかないわよ」
「当たり前だ」
 さらに話がとんでもないものになってきていた。
「それ以外のルートって一体何なんだ」
「それを聞いたらね」
「ああ」
 話が剣呑なものになっていく。ついでにアンジェレッタとマチアの顔も一緒に。
小説・詩ランキングsite_access.php?citi_id=254078182&size=200cont_access.php?citi_cont_id=766008103&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。