第八十四話 ゴールデンカップルその四
「お宝の山に突撃なのよ」
「だから何よ、お宝って」
蝉玉には話が全然見えていなかった。それはスターリングも同じであった。二人は彼等の言葉の意味がわからず目を顰めさせていたのだ。
「何が何なのかわからないのだけれど」
「すぐにわかるわ」
しかしペリーヌのにこやかな顔は変わらない。
「だから。入りましょう」
「入るって何処に?」
「だからあの店よ」
そう言って前にあるダークブラウンの外装に入り口に何かライオンの置物を置いてある店を指差してみせてきた。一見で怪しい雰囲気が伝わる。
「わかるわよね」
「店、なの」
「何に見えるの?」
「何かって言われると」
少なくともその怪しい雰囲気が店に見えるわけではない。それを言いたかったのだ。
「何かしら」
「まあまずは中に入って」
ペリーヌがまた言う。
「そうすればわかるから」
「そうなの。それじゃあ」
「さあさあ、夢の冒険が今はじまるよ」
ロミオが朗らかに蝉玉に言ってきた。
「物凄いお宝の山が眠っているから」
「お宝お宝って言うけれど」
「何があるんだろうね」
蝉玉は今度はスターリングと向かい合う。だがスターリングにも全くわからなかった。わからないうえにどうなるのかさえ見当がつきかねていた。しかし何はともあれその怪しい店の中に四人で入るのであった。
店に入るとそこは。カオスであった。
「何、ここ」
「何のお店?」
二人は店の中に入っていきなりこう呟いた。服もあれば本もあるしゲームソフトもある。一応はジャンルごとに分けられているがその内装は実にカオスであった。洞窟の様な場所に様々なものが置かれやけに明るい灯りで照らされているのであった。怪しい雰囲気は店の中でも同じなのだった。
「古本屋よ」
「あと古着屋」
「古着屋なの」
二人の話を聞いて言う蝉玉だった。まだ呆然として入り口に立ったままであるが。
「そうよ。他の何に見えるの?」
「訳がわからない世界」
これ以外に言葉がなかった。
「そうとしか言えないわ」
「今回ボキャブラリーが貧困ね」
「何て言ったらいいかわからないのよ」
今度ははっきりとペリーヌに言い返した。
「こんな店はじめて見たわ」
「はじめてなの」
「お客さんは多いけれど」
見れば老若男女があちこち動き回っている。その洞窟を思わせる店の中をだ。
「ここで買い物するのよね」
「他の何をするの?」
「そうよね。じゃあやっぱり」
蝉玉は言うのだった。
「服に本にゲームソフトに」
「アクセサリーもあるわよ」
「色々とあるのね」
「ここはそういうお店なんだよ」
ロミオの声が明るい。本当にそうらしい。
「だからさ。ペリーヌは服だよね」
「ええ、まずはね」
「僕は漫画買うよ。じゃあまた後で」
「わかったわ」
二人をよそに話を決めていた。その後でその二人にも言うのだった。
「じゃあ蝉玉」
「ええ」
呆然としたままペリーヌに答える。
「あんたは何買うの?」
「服を買おうとは思っていたわ」
一応はこう答える。
「じゃあついて来て。スターリングは?」
「ゲームソフトかな」
スターリングも蝉玉と同じ感じで呆然としてしまっている。
「探しているものがあるから」
「じゃあ僕と一緒に行こう」
彼にはロミオが言ってきた。
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