第八十二話 ポーランド料理その一
ポーランド料理
あらためてポーランド料理を見てみる。すると。
「ふうん」
「こんなのなんだ」
皆の感想は実にオーソドックスなものであった。味気ないとも言える程ですらある。
「ピロシキあるのね」
アンネットがその中で言った。
「クレープもあるし」
「ロシア料理とフランス料理の混合?」
皆が最初に抱いた感想はこうであった。
「いや、違うな」
だがそれはすぐに変わった。
「ザワークラフトもあるね」
「そうだね」
見ればザワークラフトの料理もちゃんとあった。
「ソーセージもあるし」
「冷たいスープ!?」
その中でスープの中の一つに目がいった。
「色々野菜が入ってるみたいね」
「ふうん、フウォドニクっていうの」
それがその冷たいスープの名前であった。皆そのスープに注目していた。
「これよさそうだよね」
「そうね」
「あとメインディッシュは」
それに関しては皆あまり感想を持つことはなかった。
「牛の舌に」
コーンドタンとある。
「カツレツにソテー」
「ジャガイモの料理が多いわね」
見ればドイツのそれを思わせるパンケーキもある。他にも色々と。
「これってドイツの影響かしら」
「さあ」
「大体ロシアの系列の国ってジャガイモよく食べるわよ」
またアンネットが皆に言ってきた。
「まあポーランドもロシアに近かったしね」
「近いっていうかあんた」
「それを言ったら」
皆はアンネットに苦笑いと共に突っ込みを入れた。
「ロシアは昔ポーランドを支配していたじゃない」
「忘れたの?」
「ま、まあそれはね」
今度はアンネットが苦笑いになる番であった。
「言わないでよ。大昔の話じゃない」
「今も結構ポーランドと揉めてるし」
「全く。あんたの国も変わらないわね」
「中の人達も変わらないから許して」
そう皆に言葉を返すのだった。
「素朴で親切なロシア人気質は健在よ」
「それはわかってるつもりだけれど」
実際ロシア人一人一人は連合三百国の中でもかなり評判がいい。国家の性格と国民性がここまでかけ離れた国も珍しいとさえ言われている。アンネットにしろ性格は悪くない。多少ルシエンに対して意地悪をする程度である。
「それはそうとね」
「ええ」
アンネットは何とか話を移した。皆もそれに乗る。
「お米のサラダもあるし」
「やっぱりあるのね」
「見たら主食にもなってるわね」
やはり連合では米は欠かせない。水麦により麦の栽培量もかなりのものになっているがそれでもメインは米なのだ。どの国でもそれはあまり変わらない。
「デザートは」
「あれ、このファヴォルキって」
皆その細長い狐色の枯れ枝に似たお菓子に注目した。
「かなり美味しそうね」
「そうね、粉砂糖が何とも」
如何にも食欲をそそられるお菓子であった。皆の関心はそこにいった。
「お菓子結構充実してない?」
「林檎のケーキもあるしね」
皆が一番注目したのはデザートであった。
「これっていいかも」
「そうよね。かなり期待できるわ」
「総合的に見てオーソドックスだな」
アルフレドが最後まで見終わったうえでコメントした。
「しかし平均点は高そうだな」
「そうね。フランスやドイツの影響が強いのは嫌だけれど」
彼等がこう言う理由は簡単でフランスもドイツも連合の宿敵エウロパの国家だからだ。もっともポーランドにしろ連合の工作で分裂して連合にもエウロパにも国家がある状況なのだが。
「これは期待していいわよね」
「ああ、今晩が楽しみ」
「辛くないみたいだけれどな」
こっそりと洪童が言う。
「それがどうにも」
「辛くないのもいいわよ」
「そんなに辛いのがいいなら自分でトッピングしなさいって」
皆は笑って彼に突っ込みを入れた。
「全く。何時でも辛さなんだから」
「唐辛子は効かせていないみたいだけれどね」
「まあたまにはそれもいいか」
意外と素直な洪童であった。
「デザートもお酒もよさそうだしな」
「そうよね。デザートが特にね」
「いい感じよね」
「例え料理が好きでなくても」
アルフレドは冷静に述べる。まだメニューを見ている。
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