ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第八十話 ラーメンの少年その二
「それをおかわりって」
「あの子何者!?」
 三人は驚きを隠せない顔でその少年を見る。見れば外見は黒い髪に青い目をした白人の少年だ。ただ肌の色はアジア系のそれである。
「うちの生徒よね」
「多分」
 八条学園にいるからそれはわかる。しかし何処の所属かはわからないのだ。三人は怪訝な顔をしてそちらにも話を向ける。
「商業科かしら」
「工業科じゃないの?」
 とにかく学科も色々とある学校だ。なお七海達は普通科だ。
「若しかしたら中学生なのかも」
「まさか」
 七海の言葉はパレアナにすぐに否定された。
「それにしては大きいわよ。顔もしっかりしてるし」
「そうね。言われてみれば」
「けれど。本当に何者なのかしら」
 コゼットはまた自分の前に置かれた地獄極楽ラーメンを満面の笑みで見ている少年を見ながら言う。見れば少年の顔は全く平気な感じである。
「あれだけ食べる子ならすぐに目立つ筈なのに」
「そうよね。幾ら何でも」
「すぐに有名になるわよね」
 流石に地獄極楽ラーメンを二杯である。有名にならない筈がない。例え個性的な面々ばかり集まっている二年S1組であってもだ。
「それにしてもよ」
「何?」
 コゼットはパレアナの怪訝な声に問うた。
「あの子本当に食べられるのかしら」
「さあ」
 そこまでは彼女もわからない。首を捻って応える。
「本人はいけるって言ってるけれど」
「普通は絶対に無理よ」
 パレアナの言葉は強い。
「私達なんかもう満腹で何処にも入らないっていうのに」
「デザートも?」
「チョコレート一枚なら何とか」
 七海の突っ込みに応える。甘いものは別腹というわけだ。しかしそれでも限界があるというのが今のパレアナの言葉でわかる。
「いけるけれど。それでも」
「ギリギリよね」
「別腹でも限度があるわよ」
 それも言う。
「幾ら何でも。それなのに」
「男の子だからじゃないの?」
 コゼットはそこに理由を求めた。
「だから二杯もって・・・・・・無理か」
「普通はね。だって力士の人だって二杯がやっとだっていうし」
 当然ながら八条学園には相撲部もある。大学の相撲部の面々が二杯がやっとだったのだ。他にはプロレス同好会も何とかといったところだった。力士やレスラーは食べるものもまた仕事なのだがその彼等にしろそうなのだ。それをあんな細い少年が、である。すぐ見ただけで無理なのがわかる。
「そうだおじさん」
 少年はその中でまた店の親父に声をかける。
「今度は何だい?」
「炒飯大盛りも頂戴」
「なぬっ!?」
「えっ!?」
 これには店の親父も七海達も唖然とした。今何を言ったのかわからなくなる程だった。
「それと焼き餃子三人前もね」
「君、正気かい!?」
 親父は目を大きく見開いて少年に問う。
「二杯目でしかもまだ頼むなんて」
「やっぱり御飯も食べないと駄目ですから」
「いや、そういう問題じゃなくて」
 話が大きく擦れ違っていた。しかし少年は平気な顔のままだ。
「まだ入るんだ」
「大丈夫です、絶対に食べられますから」
 少年の穏やかな笑みはここでも変わらない。
「ですから。御願いしますね」
「そりゃこっちも商売だからね」
 親父はそう応えながらも動きを鈍くさせていた。
「注文されたら作るけれど。本当に大丈夫なんだよね」
「はい。いつもこんな感じですし」
「いつもって」
「胃袋が宇宙なのかしら」
 三人は少年と親父のやり取りを聞いて言う。少年の耳には届いていないがそれでも彼女達の驚きは見ればすぐにわかるレベルであった。
「食べられるかしら」
「普通は無理よ」
 七海はコゼットの言葉に答える。
小説・詩ランキングsite_access.php?citi_id=254078182&size=200cont_access.php?citi_cont_id=766008103&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。