第七十三話 セドリックの許婚その九
「何か今のセドリックって」
「それは言わない約束よ」
それはペリーヌが止める。
「あんただってかなりなんだし」
「それは言わないでよ」
アンは今度は困った顔になるのであった。
「それはね。どうにも」
「だからよ。言わないの」
今度は困った顔になるアンにペリーヌが言う。
「お互い様なんだから」
「そうなるの。誰だって同じなのよ」
ペリーヌはあえてクールにアンに告げる。
「だから気にしないの。いいわね」
「わかったわ。それじゃあ」
「おのろけは素直に受け止める」
ペリーヌはこうしたところではおおらかであった。お金が絡まないからだ。
「そういうものよ」
「わかったわ。じゃあ」
「セドリックの幸せを見てあげましょう」
にこりと笑ってセドリックとコッキーを見る。
「それでいいわね」
「わかったわ。それにしても」
アンは困った顔から苦笑いになって呟く。
「コッキーって名前はね。やっぱり」
「間違えるわよね。クッキーと」
「そうなるわよね」
そんな話をしながらやり取りを見ている。セドリックはのろけたままであった。
「運命、いや宿命だったんだ」
「そうなのよ」
二人はのろけまくったまま皆に対して言っている。
「僕達が一緒になるのは」
「生まれた時からだったし」
「生まれた時から?」
「そうなのよ」
彼等は皆に対して答える。
「だって生まれた時から一緒だったし」
「しかも。それだけじゃないんだ」
「それだけじゃないって」
「何かな」
二人のおのろけに皆がぽつりと呟く。かなり引いていた。
「どんどんのろけていっていないか?」
「セドリックってこんなキャラだったんだ」
皆それを言い合うのであった。
「意外?っていうか」
「見てはいけないものを見てしまったような」
「だってコッキーと一緒だから」
「私だってそうよ」
しかし二人はこれで平然としていた。のろけたまま。
「コッキーがいないとね」
「セドリックがいないと」
「生きていられないよ」
「駄目よね」
二人は言い合う。しかしここでまだ話はあった。
「何度生まれても一緒だよね」
「このままね」
二人はまたおのろけであった。
「何度生まれ変わってもずっと死ぬまで一緒よ」
「何時までもね」
「何かなあ」
「純愛なのはわかるけれど」
皆はかなり引きながらも話を聞いていた。だがそれでも限界があった。
「このままずっとこれっていうのは」
「幾ら何でもな」
「幾ら何でもっていうかな」
彼等は言い合う。
「見ている方が熱くなるな」
「服を着ているだけで暑くなるよ」
「そうよね」
何時しか苦笑いになっている一同であった。
「ここまで目の前でのろけられると」
「どうしたものやら」
「だってねえ」
「それはね」
セドリックもコッキーも二人の話は聞いている。しかしそれでも止められないのであった。こればかりはというやつであった。
「皆には悪いけれど」
「まあわかっているのならいいけれど」
「いいんだ」
蝉玉にスターリングが突っ込みを入れた。
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。