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第六十九話 並木道の二人その七
「それじゃあ次は」
「いい喫茶店知っています」
 ティンはここで最後の場所をカムイに気付かれることなく指定してきた。
「そこでいいですか?」
「喫茶店かあ」
 それを聞いたカムイの顔が少し考えたものになる。視線を上にやっていた。
「そうだね。それがいいね」
「はい、喉も渇いてきましたし」
 それを理由にする。
「それじゃあそういうことで」
「うん。ところでさ」
 ここでカムイはまた言う。
「その店って何処にあるの?」
「ここから少しの場所です」
 そう彼に答えた。
「並木道を真っ直ぐに歩けば右手ね」
「ああ、じゃあ簡単に行けるね」
「はい、ですから」
 勧める。カムイだけがそれがどうしてなのかわからない。
「行きますね」
「いいよ。それで」
 カムイの返事はもう決まっていた。にこりと笑って答えた。
「それじゃあね」
「はい」
 こうして二人はクレープを食べ終えて喫茶店に向かう。ネロとアロアは最後までカムイに気付かれないままその様子を見守るのだった。
 とりあえず二人がそのまま行ってから。ネロがアロアに声をかけてきた。
「ここまでは完璧だね」
「ええ、もう決まったようなものだし」
 アロアがネロに答えた。
「後はカムイがティンちゃんに言うだけだけれど」
「それはどうなるかな」
「あの調子だと問題ないわね」
 アロアはそう見ていた。
「でしょ?」
「うん」
 そしてネロも。彼もそれで間違いないと思っていた。
「そうだね。これは確実にね」
「そういうこと。それじゃあ」
 ここまで話したうえで携帯を取り出した。
「アロアよ」
「ああ、どうなったの?」
 ピーターが出て来た。どうやら連絡を待っていたようである。
「今そっちに向かっているところよ」
「そうか、いよいよだね」
 ピーターはそれを聞いて呟いた。
「こっちに来るのか」
「そっちの用意はできてるわよね」
「勿論」
 明るい声で答えてきた。
「もうできてるよ」
「そう、それじゃあ御願いね」
 アロアはにこりと笑って彼に答えた。
「最後はね」
「うん。ところでさ」
 ピーターはここで二人に対して問うてきた。
「どういう感じだったの、そっちでは」
「もう決まったようなものかな」
 この問いにはネロが答えた。
「ティンちゃんのリードでね」
「そうなの。あいつ頑張ってるんだ」
「見事なものだったわよ」
 アロアもそうピーターに言う。
「殆ど完璧にカムイをリードしていたわ」
「じゃあカムイ君は全然気付いていないんだ」
「うん、それははっきりわかったよ」
 ネロがそれについて言う。
「彼は全然気付いていないね。完全にティンちゃんのペースだよ」
「そうなの」
 電話にウェンディが出て来た。何か探るような声であった。
「それはかなり凄いわね」
「そうだね。彼女、かなり頭がいいよ」
 ネロにもそれはわかる。それをウェンディにも言うのであった。
「もう完全に流れを掴んでいるしね」
「流れをね」
「後は告白させるだけだね」
 ネロはこうまで言う。
「カムイにね。それだけ」
「そう。何か話の動きが早いわね」
 ウェンディにとってもこれは予想外であった。電話の向こうで少し驚いた様子であった。
「喫茶店で決まると思ったんだけれど」
「もうあらかた決まってるよ」
 ネロはまた言う。
「だからさ。特に僕達がすることはなかったよ」
「そんなにだったの」
「うん。じゃあ僕達はこれから」
「ええ、終わりよ」
 ウェンディは電話の向こうでにこやかに笑っていた。
「お疲れ様、後は自由にして」
「じゃあさ、ウェンディ」
 今度はアロアがウェンディに言ってきた。
「何かしら」
「これからは私達がデートしてもいいのよね」
「ええ、全然構わないわ」
 ウェンディはそのにこやかな声でアロアだけでなくネロにも応える。
「どんどんやって。こっちはむしろ人手が余ってる位だから」
「そんなになの」
「元々人いらなかったかしら」
 電話の向こうで苦笑いになっているのがわかる。
「ちょっと多過ぎて。二階占領しちゃってるのよ」
「そんなにいるの、皆」
「結構大騒ぎよ」
 また苦笑いが聞こえてきた。
「これでばれないとなるとね。それは」
「ああ、それは大丈夫だよ」
 ネロが笑顔で応えてきた。ネロが笑顔なのはウェンディもわかったようだ。
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