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第六十八話 花園での騒動その五
「これはひょっとして」
「やり手なんだ」
「そうは見えないけれどね。けれど」
 ここで彼女はある諺を口にするのであった。
「見事ね。本当に」
「そんなに」
「リードの上手さで言ったらタムタム並ね」
 今度はタムタムまで出す。
「まあカムイはフランツ程あれじゃないけれどね」
「それは言ったら駄目だよ」
「了解」
 フランツについてはクラスどころか学園全体を見回しても極端に頭があれだと言われている。同じようにテンボとジャッキーもそうである。
「それ並ね。いや、彼女は」
「カムイは気付いていないみたいだね」
「ええ、間違いなくね」
 マルティのその言葉に頷く。
「それは確かね」
「カムイは自分が引っ張っているように思っているのかな」  
 マルティはここでカムイを見た。
「それはどうかな」
「そうね」
 カトリは彼のその言葉に頷いた。
「そうなんでしょうね」
「やっぱりそうなんだ」
「本人は全く気付いていないけれどね」
 これが非常に大きいのであった。
「実際のところは」
「というより気付かせない?」
 マルティはこう表現してきた。
「ティンちゃんが」
「そうなんでしょうね。何かそれを考えると」
 カトリはここまで話してあらためて思うのだった。ティンの凄さというものを。
「凄いわね。あの娘は」
「あんな可愛い顔をしてね」
「そうね。ってちょっと」
 ここでカトリは少し踏み止まるようにしてマルティに声をかけてきた。
「何かな」
「今の言葉だけれど」
 そこを彼に対して問うのであった。
「今の言葉って?」
「ティンちゃんが可愛いって言ったわよね」
「うん」
 それは事実だ。彼も否定するつもりも取り消すつもりもない。それに嘘をついているつもりもなかった。彼もそれははっきりと自覚していた。
「そうだけれど」
「それは世界で何番目?」
 カトリはそれでもそこを尋ねる。この場合世界とは宇宙全体を差す。地球にあった頃は地球全体を世界と呼んでいたがこの時代は宇宙全体になっているのである。
「何番目って?」
「ティンちゃんが可愛いってことよ」 
 彼女が気にしているのはそこであった。
「何番目?それは」
「限界で二番だね」
 マルティはそう彼女に答えた。
「やっぱりね」
「そう、二番なの」
 カトリはその言葉を聞いて納得したように微笑んだ。
「じゃあいいわ」
「言いたいことはわかってるよ」
 マルティもにこりと笑ってカトリに言うのだった。
「カトリが一番だよ」
「お世辞でもそう言って欲しいのよ」
 やはりにこりと笑って告げる。女の子の一番聞きたい言葉でありそれを彼氏に言われる。それだけで充分過ぎる程幸せなのであった。
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