ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第六十二話 爽やかな若者その五
「そういえばカムイの好みってわからないわよね」
 蝉玉はあらためてそこに言及するのであった。
「何か誰でもいいって感じだけれどね」
「それは確かだよ」
 アルフレドはそれに頷いてみせた。
「彼はかなりね。守備範囲が広いから」
「ふうん」
「まあ大抵の女の子ならいけるから」
「年上も年下も?」
「いいみたいだよ」
 また蝉玉に答えるアルフレドであった。
「そこのところもね」
「じゃあそれでいいんじゃないかな」
 ピーターはそこまで話を聞いて皆に述べた。
「僕の妹で」
「本当にいいの?」
 ウェンディは彼氏にそこを念を押した。
「カムイで」
「うん」
 ピーターは明るく頷いてみせた。
「物は試しだよ、何事も」
「それはそうだけれど」
 ウェンディはあらためて深刻な顔を見せる。そうして彼氏にまた念を押す。
「相手は。馬鹿よ」
「ちょっとウェンディ」
 ビアンカが困った笑いでウェンディに言う。
「オブラートにも包まないの?」
「ああ、御免なさい」
 言われてそれに気付く。
「それはそうだけれどね」
「けれどまあ。確かにねえ」
 何だかんだでビアンカも同じことを考えているのであった。
「カムイはねえ。本当に」
「まあフランツとかあの探偵コンビよりずっとましだけれど」
「彼等はまた特別だが」
 アルフレドがすかさず突っ込みを入れる。
「無茶苦茶だし」
「まあそうね」
「洒落にならないし」
「ああ、野球部のエースと推理研究会の」
 ピーターもそれは知っていた。何しろあまりにも有名な彼等だからだ。
「話は僕も聞いてるけれどね」
「知らない人いないんじゃ?」
「ねえ」
 蝉玉とビアンカが顔を見合わせて言い合う。
「あの三人だけは」
「歩く非常識だから」
「カムイも女の子のことになると非常識なのよね」
 ウェンディの言うのはそこであった。
「困ったことになるかもよ」
「それは匙加減ってことで」
 だがピーターはあくまで楽天的であった。
「気にしない気にしない」
「そうなの」
「とにかくこれでいけるね」
 ピーターの中ではそれで完結していたのであった。にこりとした笑みがそれを告げていた。
「そういうことでね」
「じゃあ後はあれ?」
 スターリングがその彼に問う。
「妹さんとカムイを会わせるだけなんだ」
「そうだね」
 ピーターはにこりと笑って答える。
「それだけでいいと思うよ」
「何か思ったより簡単?」
 蝉玉はそう思った。ふと、であるが。
「この流れて」
「甘いと思うわよ」
 しかしそれにウェンディが突っ込みを入れる。
「そう考えるのって」
「そうかしら」
「当たり前でしょ」
 ウェンディは今度は顔を顰めさせてきたのであった。そして言うのは。
「カムイよ」
「カムイだったわね」
 しかも蝉玉も彼女の言葉に頷くのであった。
「あのカムイだったわね」
「そう、本当にねえ」
 腕を組んで困った顔を見せるのであった。見ればビアンカも同じような顔をしている。
「何であそこまで女の子のことになると暴走するんだか」
「しかもこれが凄い不思議なんだけれど」
 ビアンカはあることに気付いた。
「何?」
「カムイってさ、うちのクラスの女の子には全然何も言わないわよね」
「あっ」
 皆そのことに気付いた。はっとした顔になって声をあげるのであった。
小説・詩ランキングsite_access.php?citi_id=254078182&size=200cont_access.php?citi_cont_id=766008103&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。