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第五十話 アトリエの中はその二
「彼と合流するから」
「やっとなのね」
「ええ。サポートするって約束したしね」
 こうしたところは案外律儀なルビーであった。しかしここで問題が転がっていた。
「けれどどうする?」
 マチアが彼女に尋ねてきた。
「あいつ捕まえること自体大変そうだぞ」
「大丈夫、安心して」
 しかしルビーはにこりと笑って述べてきた。完全に自信に満ちた顔であった。
「切り札があるから」
「切り札!?ええ。フック」
 いきなりフックを呼んできた。
「神崎亜矢ちゃんの最新写真集あるけれど」
「むっ!?」
「何だと!?」
 分身していた無数のフック達がそれに応えてきた。実に早い。
「そこか!」
「ならば!」 
 フックの分身が消えた。そうしてルビーの前に一人のフックが姿を現わしたのであった。その間全くと言っていい程時間ロスがなかった。
「ルビーか。それで神崎亜矢ちゃんの写真集は何処だ?」
 目の前にいるルビーに尋ねてきた。
「早く、早く出してくれ。金は出すから」
「御免なさい、間違えたのよ」
「間違えた!?」
「ええ。これだったの」
 出してきたのは全然違う動物の写真集であった。見ればアザラシやらカワイルカだのマスコット的な水棲生物ばかりであった。マナティーも映っている。
「何だ、それは」
「勘違いしちゃった」
「本当に勘違いか!?」
 幾ら何でもこれはない。フックも怪訝な目をルビーに向けてきた。
「それが神埼亜矢ちゃんだというのは」
「まあいいじゃない。これあげるから」
 さりげなくフックにその写真集を手渡してきた。
「好きでしょ?こうした動物」
「あ、ああ。まあな」
 フックもそれに応える。実はこうした動物の写真集は嫌いではない。だから実はその写真集を貰うのもまんざらではなかったのである。
「じゃあ貰っておくな。有り難う」
「ええ。それでね」
 写真集を渡したところで話を本題にやってきた。
「それでフック。あの人のことだけれど」
「ああ、それだよ」
 フックはルビーに話を振られてそれに応えてきた。
「何処にいるのかわからないんだよな。何処だよ」
「それだったらあれよ」
 ルビーはそのフックに対して言った。
「ここ中等部でしょ?あまりいる可能性はないわよ」
「しかし俺があの人を見つけたのはここだったしな」
 眉を顰めさせて応える。
「ここだと思ったんだが」
「大学にいる方がずっと確率は高いわ」
 こう言ってきた。これは彼女が大学生だから当然と言えば当然であった。何故かフックはそのことを見事に頭から抜け落としていたのである。
「だから。そっちに行きましょう」
「ああ、わかった」
 フックもそれに頷く。そうしてルビーと共に大学へ向かうのであった。
 既に大学ではビアンカがいた。彼女は今ダイアナに捕まっていた。
「やっと捕まえたわよ」
「ああ、そうだったわね」
 彼女に捕まって今ようやくパートナーだったのを思い出す。
「あんた私のパートナーだったわね」
「そうよ。探したわよ」
「御免なさい。それはそうとね」
 ビアンかはここでダイアナに顔を向けて言ってきた。
「あんた見つけた?彼女」
「そんなわけないでしょ」
 ダイアナは顔を顰めさせて言葉を返してきた。二人は今大学の講義室の中の一つにいるのであった。ビアンカがそこに忍び込んだ結果である。
「大体あんな幾ら何でも教室とかまでね」
「だって何処にいるかわからないじゃない」
 それがビアンカの返答であった。
「だからよ」
「やり過ぎよ」
 ダイアナはまた彼女に言い返す。
「迷惑でしょ、そんなことしたら」
「迷惑はかけてないわよ」
 自覚はない。それが一番悪質なのであるが。
「別にね」
「まあ自覚がないのならいいわ」
 ダイアナもそれを言うのは止めることにした。そうしてビアンカの服の袖を引っ張ってきた。
「とにかく。パートナーだから」
「ええ」
「付き合うわよ。いいわね」
「参謀してくれる?」
 ビアンカは彼女にこう提案してきた。
「よかったら」
「参謀!?」
 ダイアナはその提案に目を少し丸くさせてきた。
「私があんたの?」
「ええ。やっぱり私一人じゃ色々と限界があるし」
 この場合は他人への迷惑の方が問題だがそれはなかったことになっている。
「だからね」
「別に。いいけど」
 実はそれもいいかと思ったダイアナであった。頷いてきた。
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