第二百七十一話 奇行は続くその九
「宜しいですね」
「ううむ。何か酷く侮辱された気分だな」
「そうよね」
テンボとジャッキーは事実に基づくことでもそう捉えた。
「俺達の何処が悪いんだ」
「如何にも問題起こすってこと言うけれど」
「前科が無数にありますから」
二人の前科なぞ数えていられなかった。あまりにも多過ぎて。
「本は貸せません」
「だからここで読めっていうのか」
「絶対になのね」
「はい、絶対にです」
図書係は一歩も引かない。そのうえで言うのである。
「わかって頂けなくてもです」
「くっ、まだ言うのか」
「意固地ね」
「意固地でも何でもです」
断固としてだ。二人に言ってだった。貸し出しは許さなかった。
そうしてだった。やはり本は貸し出されなかったのだった。それを受けてだ。
二人はだ。図書館の中でそのルパンの本を読んだ。そして言うことは。
「面白いな」
「そうね。ルパンの暗号って」
「こんな面白い暗号は見たことがない」
「ええ、小説みたいよ」
実際に小説である。二人は脅威の速さで、一冊辺り五分で読んでいく。
そして読み終わってからだ。こう話すのだった。
「ルパンの初代は最高だな」
「そうね。敵であるあたし達から見てもね」
「紳士でしかも愛国者か」
「敵ながら見事よ」
「それなら。その子孫には」
「絶対に勝つわ」
暗号であることは全く忘れていた。そうしてだ。
図書館を出る。その前に図書係に本を返却した。その時にだ。図書係はそのクールな口調でだ。二人に対して淡々と述べた。
「有り難うございます」
「ルパンの謎がわかった」
「それもよくね」
「そうですか」
「ああ、全部あんたのお陰だ」
「あんたはルパンの手先じゃなかったのね」
何故ここでは暗号を思い出す。かなりいい加減な記憶である。
「じゃああんたは一体何者なんだ?」
「どうしてあたし達に協力してくれるの?」
「只の図書係です」
こう自分のことを名乗るだけの彼女だった。
「国籍は日本です」
「ああ、この国の人か」
「そうだったのね」
「はい、そうです」
「じゃあ日本古来のあの陰陽道の」
「そっちの人なのかしら」
「違います」
あっさりとだ。二人の妄想は否定した。
「あくまで只の図書係です」
「そうして隠さないといけない」
「そういうことなのね」
「ですから違います」
また言う図書係だった。
「私は陰陽道は知りません」
「いや、けれど日本人だな」
「そうよね」
二人の言う根拠はここにあった。図書係が日本人だからだというのだ。
「それなら陰陽道も知ってる筈だ」
「違うというの?」
「はい、何度も言いますが」
図書係はあくまでクールに話す。
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