第二百七十話 二人対組織その一
二人対組織
何だかんだで風紀強化週間がはじまった。だが普通の生徒達はだ。
通常の学園生活を送っていた。はじまりを知らせるポスターを見てもだ。
「ああ、はじまるんだ」
「そんな季節なんだ」
「今年もやるんだな」
「そうなんだね」
こんなことを言うだけだった。普通に学園生活を送っていれば誰も何とも思わないことだからだ。
だが不良の面々はというと。
「これから鬱陶しいな」
「全くこんなのしなくてもいいのにな」
「それでもやるんだな、今年も」
「難儀だよ」
こう言ってだ。不快な顔になっていた。そうしてもだ。
彼等にも彼等の意地がありだ。髪型も生活態度もあらためないのだった。不良のこうした態度は何時でもどの国でも変わりはしない。
それで辮髪やモヒカンやちょん髷の生徒が相変わらずいる。女子は女子でケルト民族や江戸時代の大奥の髪型にしたりしている。
その彼等がだ。口々に言うのである。
「これはポリシーなんだよ」
「そうだよ、不良のな」
「だから絶対に引けないっての」
「止めないからな」
意地になっていた。まさにだ。
そうしてだ。辮髪の男が言う。金髪で緑の目の辮髪の男がだ。
「この髪型って歴史ある髪型なんだぜ」
「確か満州民族の髪型だよな」
「それだったよな」
「ああ、そうだよ」
まさにそれだとだ。彼は言うのである。
「今満州共和国だけれどな」
「満州人は殆どしなくなったけれどな」
「それでも歴史のある髪型だよな」
「由緒正しい」
「清帝国を作った偉大な民族の髪型なんだよ」
それがこの時代の連合の不良の髪型になっているのだ。
「その満州民族みたいに強い不良になるんだよ」
「だよな。その為にだよな」
「誇りある辮髪だよな」
「それにしてるんだよな」
「俺もだよ」
今度はモヒカンが主張する。黒い髪をモヒカンにした黒人である。
その黒人の彼がやけに大きな己のモヒカンをさすりながら言うのである。
「見ろよこれ」
「ああ、見事だな」
「立派なモヒカンだな」
「素晴らしいモヒカン族の髪型なんだよ」
だからそうしているというのだ。
「ああした毅然とした不良になるんだよ」
「不良でもそれでもだよな」
「傾いてこそだからな」
「だから辮髪にモヒカンだよな」
「漢の髪型なんだよ」
尚モヒカン族はこの時代にも存在している。イロコイ連邦やアメリカに子孫がいるのだ。モヒカン族の最後というがちゃんと残っているのだ。
そしてだ。最後はちょん髷の男だ。紅の髷は地毛だ。目は紫のアジア系の顔立ちの男が言うのである。
「これはわかるよな」
「侍だよな」
「日本の」
「俺は侍なんだよ」
不良だがそうだというのである。
「誇り高き侍なんだよ」
「だよな。侍になる為にだよな」
「その髪型にしてるからな」
「あえてな」
「漢の髪型なんだよ」
そのちょん髷がだ。そうだというのだ。
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