第二百六十八話 風紀強化週間その三
「国家権力になぞ屈してたまるか!」
「ルパンに操られた国家権力になんか!」
「あれっ、確か」
ここで彰子はあることに気付いた。
「ルパンって国家権力と仲悪くなかったかしら」
「悪いどころか対立してるから」
七海が彰子の疑問に答える。
「だって。ライバルはガニマール警部じゃない」
「三世はインターポールの銭形警部よね」
「思いきり国家権力だから」
警察こそは治安を守る存在だ。まさしく権力である。
だからだ。その警察を出し抜くルパンはというと。
「国家権力を向こうに回して華麗に盗んでみせてるでしょ?」
「じゃあやっぱり国家権力を操るとかは」
「代々絶対にないわ」
ルパン家においては考えられないことだった。
「何があってもね」
「そうよね。それにうちの学校って」
「国家権力じゃないから」
七海はそのことにも突っ込みを入れる。
「確かに理事長さん中央政府の国防長官だけれどね」
「それでもよね」
「中央政府の大臣さんだけれどここ日本だし」
「日本の政治家だったこともあるけれど」
「それでもここは私立の学園だから」
国立、公立ならいざ知らずだ。私立となるとだ。
「国家権力じゃないから」
「そうよね。それで何であんなこと言うかしら」
「馬鹿だからでしょ」
七海は一言でだ。二人について言い切った。
「だからでしょ」
「馬鹿だからって」
「あの二人こそ正真正銘の馬鹿よ」
七海は二人についてまた言い切る。馬鹿だとだ。
「そうじゃないとああした発想には辿り着けないわ」
「けれどその言い方は」
「アホでもあるけれど」
漢字では阿呆になる。しかし七海はここではあえて片仮名で表現した。その方が二人を表現するには相応しいからだ。だからその発音なのだ。
「とにかく。頭が悪いから」
「だからっていうのね」
「そうよ。そうじゃないとルパンが国家権力を操ってるとかロシュフォール先生がルパンだとか。そんなこと普通の人じゃ考えないから」
「独特な考えよね」
「独特過ぎるわよ」
馬鹿故に至る独特の考えだというのだ。
「あんまりにもね」
「じゃあそのテンボとジャッキーがこれからすることって」
「馬鹿よ」
またこの言葉だった。
「馬鹿をするのよ」
「じゃあ風紀部とも?」
「探偵とはまた違うことをするから」
二人は一応探偵だとだ。自分達を言っている。しかしだ。
時折というかしょっちゅうだ。明らかに探偵ではない、何処かの冒険活劇の様なことをしでかすのだ。それがいつも騒動を起こすのだ。
そのトラブルメーカーがだ。今回何をするかというと。
馬鹿をする。そうだと言う七海だった。
「まあ見ていましょう。離れた場所からね」
「けれど何かあったら」
「その時はちゃんと助けるから」
クラスメイトとしてだ。そうするというのだ。
「そうしましょう」
「ええ。じゃあ」
「全く。何をするか」
また言う七海だった。呆れた調子で。
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