第二百六十六話 米対決その五
日系の面々と同じでだ。話していくのだった。
「何か違うんだよね」
「インディカ米のあのあっさりして粘らない感じがいいのに」
「日本人はジャポニカ米じゃないと駄目っていうし」
「だからこの学園でも」
日本にあるだ。この学園においてもだった。
「あれなんだよね。いつも気になるんだよ」
「ジャポニカ米かインディカ米か」
「和食の食堂はジャポニカ米だから」
だからだ。彼等は和食の食堂にはだ。
どうも馴染めなくてだ。今回の話にもだ。
「お握りっていうけれど」
「どうかなあ」
「美味しいのかな」
「ジャポニカ米って」
こう話してだった。どうしてもだ。
彼等は今一つあまり期待していない口調で話していた。そしてだ。
その中でだ。フックが言った。
「米といえばだ」
「ああ、タイか」
「フックの国よね」
「俺の国は米なら最高だ」
二十世紀の頃からだ。米櫃とまで呼ばれている国だ。この時代でもかなりの米を生産して輸出してきている。その誇り故に言うのである。
「だからな」
「捨ては置けないっていうんだね」
「七海達のことを」
「ああ、米といえばタイ米だ」
そのインディカ米である。タイ米はその代名詞にもなっているのだ。インディカ米の。
そこに誇りがからだ。彼は言うのだった。
「無理にでも勝負を仕掛けるからな」
「何か乗ってきてる?」
そのフックに言ったのはコゼットだった。
「タイ人として」
「タイ人は温厚だけれどな。血は騒ぎやすいんだよ」
「ムエタイだけじゃなくて」
「ああ、外交に仏教に農業にな」
結構だ。タイ人が興奮する対象は多い。
「そして料理もだよ」
「料理。出たわね」
「ああ、タイ料理だよ」
それを出す彼だった。そしてだ。
コゼットもだ。こう彼に言った。
「じゃあここで仕掛けるのはお米を使ったタイ料理よね」
「ああ、炒飯だ」
彼が話すのはそれだった。
「タイ風炒飯、お握りにぶつけるな」
「お握りとタイ風炒飯かあ」
「果たしてどちらが勝つか」
「考えただけで満腹になるわね」
「よく食って必要とあらば動く」
タイ人は必要な時が来れば勤勉になる。ただしそれ以外の時は休んでいる。のどかだがいざという時はというのがタイの国民性なのだ。
そのタイ人だからだ。フックは今動くというのだ。
「やってやるぜ、炒飯作るからな」
「具体的にはどういった炒飯なの?」
コゼットが彼に問う。
「タイ風炒飯なのはわかるけれど」
「思いきり辛くさせてな」
まずはそこからだった。
「具も色々入れたとびきりのやつだよ」
「シーフード入れるの?」
「それと卵も欠かせないな」
具体的なその具の話も為される。
「鶏肉も入れてな」
「何かかなり豪華なものになるのね」
「五十人、いや百人分でいくか」
話のスケールが大きくなっていく。
「それだけの量を一度に料理して作るからな」
「豪快ね」
「タイ人はいざとなれば豪快なんだよ」
そして繊細にもなれる。とにかくここぞという時にこそ本気の力を遺憾なく発揮するのがタイ人なのだ。そして熱くなるとなのだ。
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。