第二百六十五話 日本組その四
「実はね」
「そうだったの」
「僕も祖国にいたらわからなかったよ」
そのだ。部員もだというのだ。
「オーストラリアにいたらね」
「そこにどれだけ外国の生徒の人がいても」
「うん。ここは日本だから」
このことが非常に大きかった。
「日本の土壌の上にね。僕達がいるんだ」
「他の国の人が」
「そう、同じ連合でもね」
「ううん、そういうものなの」
「そこは違うよ。同じ連合同士でもそうだから」
かつての都道府県の違い程度になっているがそれでもだ。そしてましてやとだ。その部員は二人にさらに話をしていくのだった。
「マウリアの人なんかはかなりだと思うよ」
「セーラちゃん達よね」
「そうよね」
「ああ、あのマウリアのマハラジャの娘さんね」
この部員もだ。セーラのことは知っていた様だ。
それでだ。ここでこんなことを言ったのだった。
「あの娘はそうだろうね」
「やっぱり。連合の日本にいるから」
「寂しいのね」
「そう思うよ。本人は何も言わなくても」
自分のことはあまり言わないのがセーラなのだ。彼女はいつも気品のある微笑みを浮かべている。それで表情に出る真意を見せないのだ。
そのことをだ。二人はだ。
今気付いてだ。そうしてだった。
「日本人が日本にいたら」
「そういうことが分からないのね」
「確かに全体的な割合だと」
部員の話が戻った。
「日本人は一割程度だけれど」
「それでもなのね」
「全体の数は一番多いし」
「それにここは日本だから」
「私達は自然でいられるのね」
「そういうことだよ。日本だから」
また話す部員だった。とにかくここは日本なのだ。
部員は二人に話した。そうしてだった。
二人は部員から別れの言葉を告げてだ。そのうえでだ。
部室を出てそれからだ。二人で校内を歩きながら話した。その話すこととは。
「ううん、何ていうか」
「割合だけじゃなかったのね」
「そうね。日本にいること自体が」
「私達にとっては自然で」
「他の人には異国なのね」
二人はこのことがわかったのだった。そしてだ。
その足で食堂に入る、そこのメニューは。
メインはやはり和食が多い。うどんやそばや丼、それに定食だ。
そうしたものを見てだ。また話す二人だった。
「ここの食堂もそうよね」
「日本って感じよね」
「それぞれの国の料理の食堂はあっても」
「それでもよね」
やはりだ。和食がメインなのだ。そのことも今わかった。
「日本がメインで」
「この食堂にも他の国の料理もあるけれど」
だがだ。メニューの数的にはあまり多くはない。それにだ。
テーブルの上にはだった。
調味料が置かれている。醤油に唐辛子、そうしたものだ。
全て日本のものだ。それを見てだ。
二人はだ。ここでもわかったのだった。
「日本のものよね」
「ええ、日本ね」
「特にお醤油よね」
「お醤油がないと駄目だし」
日本人は醤油だ。このことは普遍だ。
そのことからもだ。わかることだった。
「日本なのね、ここは」
「紛れもなくね」
「ひょっとして他の国の料理の店も」
「お醤油あるのかしら」
七海は彰子に応えて言った。
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