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第二百六十四話 琉球の歌その四
「だからだ」
「ルーツは琉球と同じか」
「それで懐かしさを感じるのだろうな」
「御前もだよな」
「そうだ。俺もだ」
 同じく太平洋の島国からはじまったパラオの人間としてだ。タムタムも答える。
「俺も懐かしく感じる」
「民族のルーツだからか」
「そういうことになる。それでだ」
「それで?」
「懐かしいものを感じるのもいいことだ」
 タムタムは今度はこんなことをだ。フランツに話した。
「そうしたこともだ」
「いいことか」
「スランプになった時に」
 野球の話だった。ここでもだ。
「昔に立ち返ることも大事だ」
「前にか」
「答えは過去にある場合もある」
 スランプを抜け出すだ。その答えがだというのだ。
「だからだ。それもだ」
「いいのか」
「そうだ、いい」
 また話すタムタムだった。
「非常にいいことなんだ」
「前を見るだけじゃ駄目なのか」
 基本的にだ。フランツはそうだ。過去より未来を見て動いている。尚常に周りは見ない。そこはタムタムがフォローしているのだ。
「後ろもか」
「たまには見るんだな。若しそれが必要な時に御前が気付かないと」
「その時はどうすればいいんだ?」
「俺が言う」
 彼がだ。そうするというのだ。
「そうするからな」
「だからいいのか」
「そうだ。そうしておいていい」
 この辺りはまさにバッテリーとしての話だった。
「だから今はな」
「琉球の音楽を聴けばいいか」
「最後まで聴こう」
 タムタムはまた話す。
「そうしよう」
「いい曲をだな」
 こうした話をしてだった。彼等は実際に音楽を聴き続ける。
 テンボとジャッキーもだ。今はだ。
 静かに聴いている。そうしてダンの歌が終わってからだ。
 二人はだ。しみじみとしてこう言うのだった。
「いいよな」
「ああ、テンボもわかるの」
「俺は天才だからな」
 関係ないことを言ってもだ。それでもだった。
 彼もだ。感銘した顔で言うのだった。
「いい曲だったよ」
「そうよね。とてもね」
「ああ、ハーブな」
「アイリッシュハーブね」
「琴だからな」 
 ダンが二人に突っ込みを入れる。その演奏した彼がだ。
「何処がアイリッシュハーブに見えるんだ?」
「あれっ、琴なんだろう?」
「琴ってハープのことよね」
「それはそうだ」
 琴を英語ではハープと呼ぶ。このことは事実だった。
 だが、だ。二人は根本的なことを間違っている。ダンが言うのはこのことだった。それであえてだ。二人に対して言ったのである。
「しかしだ」
「違うのか?」
「アイリッシュハープじゃないの」
「そうだ、全然違う」
 ダンの言葉が一層はっきりしたものになる。
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