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第二百六十三話 琉球の音楽その五
 そしてだ。共和制の国は。
「祭事はないな」
「ないか?」
 フランツはタムタムの言葉に問い返す。
「そうだったか?」
「ああ、ない」
 こうはっきりとフランツに返すタムタムだった。
 そのうえでだ。こうフランツに前置きしてきた。
「難しい話になるけれどいいか?」
「聞くことは聞けるぞ」
 理解するかどうかは別だった。
 だがそれでもだ。フランツは話は聞くというのだ。
 それを聞いてだ。タムタムも納得してだ。そのうえで話をはじめた。
「それじゃあ話すな」
「それでどうして祭事がないんだ?」
「共和制は近代になって生まれた国家だ」
 十八世紀末のアメリカ合衆国建国からはじまる。
「それまで王制の国は王は政治を行うと共にだ」
「それと一緒にか」
「祭事も行ってきた」
 そしてそれが何故かということもだ。タムタムは話す。
「祭事は昔から国家にあった」
「そうだったのか」
「授業であったが」
 フランツは成績がかなり悪い。それも全教科だ。
「それで聞かなかったか」
「知らないな」
「そうか」
 そしてタムタムもこのことはそれで終わらせた。そしてだ。
 あらためてだ。話を再開させた。
「昔の神権政治が残ってだ。キリスト教なりになってもだ」
「残っていたのか?」
「残っていた。欧州では皇帝や王は教会と密接な関係にあった」
 カトリックでもプロテスタントでもだ。イギリスでは国教会の首長はイギリス国王だ。宗教も国家の下において統一されるということなのだ。
「宗教は祭事を行う」
「王様が行うんだな」
「だから王制の国には祭事がある」
 そうなるのだった。宗教が違っていてもだ。
「しかし共和制の国には王はいない」
「じゃあ祭事は」
「なくなる」
 それも否定してできているのが共和制なのだ。
「国家が宗教をそのシステムから排除したのが共和制だ」
「大統領がいるだけじゃないんだな」
「大統領は政治に専念する」
 祭事は行わないのが大統領だというのだ。
「就任式で聖書に手を当てていてもな」
「ああ、アメリカだよな」
 それは知っているフランツだった。ただしだ。
「何か聖書と一緒に仏教のお経とか神話の本とかも一緒に台に乗せて全部に手を当ててそれで宣誓したりしているよな」
「それでも祭事は行わない」
 共和制の国ではだ。
「王様は別だがな」
「そうだったのか」
「王制にはそうした意味合いもある」
 祭事が国にあるというのだ。
「そういうことだ」
「成程な。そうなんだな」
「それでだ」
「それで?」
「王様は必ず何処かの宗教を信仰している」
 そもそも人自体がそうだ。尚連合の人口は四兆だが宗教人口は十七兆近い。一人が複数の宗教を信仰していたりするのだ。
 そしてだ。王族も当然信仰している宗教がある。そのことについてはだ。
 ダンがだ。こうフランツに話した。
「琉球じゃ仏教だからな」
「仏教徒か?琉球の王様って」
「日本から入って来た」
 それで信仰しているというのだ。
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