第三十九話 鬼の風紀部その三
「そうだったな」
「そうだ」
議長は彼の言葉に頷いてきた。
「その通りだ。では頼むぞ」
「首塚を用意しておけ」
不敵に笑いつつ述べてきた。
「あの男のか」
「本気にしていいのか?」
「勿論冗談だ」
急に話をリアルに戻してきた。
「ただし、始末はつける」
「そうか。期待しているぞ」
「うむ」
男はすっと姿を消した。後には影一つ残ってはいなかった。
後に残った議長は不敵に笑っている。笑いながら言うのであった。
「これでよしだな」
「よし、ですか」
「そうだ」
同志達に述べる。
「あの男ならばやってくれる」
「確かに」
「彼ならば」
「さて」
話が一段落したところでまた言う。
「我々は今後について話をしよう」
「今後か」
「我々の敵はあの男だけではない」
実はかなり敵の多い白服風紀部であった。それもその筈でやっていることがどう見ても千年前のテレビの世界征服を企む悪の秘密結社だからである。
「我々の理想である秩序ある学園を目指す為には」
「そう、全ては」
彼等は一斉に立ち上がって言い合う。
「偉大なる」
「グレート=ハズバントの為に!」
グレート=ハズバントが何者なのかは実は誰も知らない。学園内でそんなものがあるのか誰がそれなのか知っている者は彼等だけでありその彼等もそのグレート=ハズバントとやらには会ったことがないのだ。言うならば全く謎の存在である。一説には超高性能コンピューターだとも言われている。
彼等がそのグレート=ハズバントに誓った時窓もない部屋に雷が走った。彼等はその雷を背にしてそれぞれの理想を確かめ合うのであった。
その頃ローリーはいい加減に学園内の本屋にいた。そこで本屋のおばちゃんに話をしていた。
「おばちゃん、いつものある?」
「こらっ」
そのおばちゃんからいきなり拳が飛んできた。ローリーはそれを慌てて返す。
「私はまだ四十五歳、おばちゃんというには早いよ」
結構濃い化粧をしていて髪をウェーブにさせて伸ばしている。スタイルのいい身体を紺色のセーターとクリーム色のズボンで覆いその上に赤いエプロンをしている。エプロンがやけに浮いている。
「だってさ、もうパラオの子供さん中学生なんだろ?」
「それがどうした」
おばちゃんは平然として返す。どうやらパラオ人らしい。
「私はまだ四十五っていうのは変わらないよ」
「そうなんだ」
「そうよ」
おばちゃんは胸を張って述べる。
「言い返しなさい。美人で気品のある太陽みたいなお姉さんってね」
「いや、一度聞いてもそんな長ったらしい前置き覚えてられないから」
「無理にでも覚えるんだね」
おばちゃんも無茶を述べる。
「だったらもっといいのがあるよ」
「どんなの?」
「絶世の美女にして八条学園の永遠のヒロイン、日の本の国に舞い降りた最高の名花、偉大なる女優であり麗しの詩人であるバレー=ハルカ」
「もう一回言って」
「二度と言えないわよ」
おばちゃんの返事は非常に無責任なものであった。
「無理矢理覚えない」
「じゃあお姉さん」
「何、ローリー君」
急に態度が変わった。
「いつものあれ頂戴」
「ああ、今日は水曜日だったね」
「そうだろ。だからさ」
「はい、週刊ウェンズデー」
漫画雑誌を出してきた。
「これよね」
「そうそう、これこれ」
ローリーはその雑誌を受け取りながら応える。
「これ最近面白くてね」
「それ昨日も聞いたよ」
おばちゃんはそうローリーに返す。
「ファッション雑誌でね」
「ああ、あれね」
ローリーも言われてそれに気付く。
「あれも面白いからね、実際に」
「何でもいいって聞こえるわよ」
「それでもいいさ」
平気な顔でそう述べる。
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