第二百六十二話 居酒屋その五
「それにするわ」
「あっさりだね」
「さっきはステーキだったから」
それでだ。今度はあっさりとしたものだというのだ。
「それにするわ。それでルシエンは」
「僕もかな」
「ワインにするの」
「ただしシャンパンね」
彼はそれだった。ワインはワインでもだ。
「それにするよ」
「一緒に食べるのは?」
「牡蠣だな」
彼が選んだのはそれだった。
「生牡蠣な」
「それにするのね」
「僕もやっぱりあっさりと」
生の牡蠣にするというのである。そうした話をしてだ。
そのうえでだった。二人はまた注文をした。それからだ。
二人でだ。それぞれのワインと肴を楽しむ。そのシャンパンを飲みながら。
ルシエンはアンネットが食べているそのソーセージを見ながら話す。
「そのソーセージもやっぱり」
「そうみたい。味が薄めで」
「それで素材の味が生きていて」
「燻製だけれどね」
それでもだ。素材の味を生かしているというのだ。
そのソーセージはだ。どうかというと。
「素材生きてるわ」
「そうなんだ。やっぱり」
「日本のソーセージね」
「日本人が作った」
「豚の肉だけれど」
日本のソーセージは豚や牛や羊から作られるとは限らないのだ。
その他にだ。あるものは。
「お魚のソーセージじゃないから」
「魚肉ソーセージな」
「あれって凄くいわよね」
「あの発想はないよな」
「ないわ」
アンネットもそれを言う。
「しかも食べたら結構美味しいし」
「だよな。しかも」
「そう。ああしたソーセージもあるんだって」
彼等にとってはその魚肉ソーセージもまさに異文化だったのだ。
それでだ。アンネットは今は豚肉のソーセージを食べてだった。
そのうえでだ。また言うのだった。
「このソーセージ香辛料弱いわよ」
「日本的に」
「あまり使ってないわね」
「香辛料効かせるのがいいのに」
「日本人が作ってるから」
どうしてもだ。好みはそちらになるというのだ。
「それに主に日本人が食べるから」
「日本の味か」
「流石にお醤油は使ってないけれどね」
「ソーセージはつけるものだからな」
「お醤油にね」
「だからやっぱりそれはないだろ」
「言われてみれば確かにね」
言われて納得するアンネットだった。そしてだ。
ソーセージを一本食べてからだ。チーズをナイフで切ってフォークで口の中に入れてだ。そうして今度はこんなことを言ったのだった。
「このチーズは」
「日本のやつだな」
「けれどチーズの味は変わらないわ」
「流石にそれはか」
「ええ、普通のカマンベールチーズ」
それだというのだ。
「美味しいわ」
「そうか。僕の牡蠣は」
見ればだ。ルシエンは。
その牡蠣にレモンと酢をかけそれだけで食べている。醤油は使わない。
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。