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第三十九話 鬼の風紀部その二
「おまけにすぐにあれこれと暗躍めいているし。僕はそういうのじゃないんだ」
「じゃあどういうのだ?」
「ソフトなんだ」
 今度はにこりと笑ってきた。
「ソフト。それで最低限」
「最低限か」
「そういうこと。それでいいじゃない」
 そう述べる。
「大体説教とか好きじゃないしね」
 彼はそういう考えなのである。往々にして説教が好きな者程大した人間ではない場合が多い。人のことを見るが自分のことは見ないという輩である。論語、いやそれ以前から往々にしてそうした者はいるものである。
「最低限を守っていればそれでいいじゃない」
「寛容なのだな、君は」
「そう思ったこともないよ」
 それにも返す。
「僕は僕だよ」
「そうか」
「そうだよ。まああの白服とは少なくとも違うから」
 むしろ嫌っているような言葉であった。どうやらああしたことは好きではないらしい。
「そういうこと、わかってくれた?」
「ああ、よくわかった」
 ギルバートもそれに頷く。
「賛同できない部分もあるがな」
「賛同してもらわなくてもそれはいいんだ」
 そこまでは言わない。そこがローリーであった。
「わかってくれるだけでね」
「だが気をつけた方がいいな」
 ギルバートはそう彼に忠告してきた。
「あれだ。君はおそらく狙われている」
「白服にだね」
「そうだ。何度かやり合ったことはあるかい?」
「どう思う?」
 その問いに不敵に笑って返す。
「そこは」
「そういうことか。よくわかった」
 彼がどういった状況にあるのかギルバートもわかった。わかったうえで頷いていた。彼も全く聞く耳を持たないというわけではないのであった。
 その日の放課後。学園の一室で白服の男達が集まっていた。
 会議室である。そこを占拠して話をしている。
「さて」
 中の一人が声をあげてきた。
「今日同志諸君に集まってもらったのは他でもない」
「あれか」
「そう、あれだ」
 議長役の男がその言葉に応えて頷く。
「あの男だ。最早野放しにはできん」
「そうか」
「それでは」
 男達は議長の言葉に応えて声をあげる。
「手を打つか」
「うむ」
 議長は同志達の言葉に応える。
「しかしだ」
「あの男はな。中々手強い」
「容易な相手ではない」
「それでもやらなければならない」
 議長はまた同志達に語る。
「そうだな」
「それはわかっている」
「だがどうするのだ」
 それでも解決案があるわけではない。彼等はその顔にシルエットをかけながら話を進める。まさに何か得体の知れない秘密会議であった。
「これまで何度か刺客を放ったが」
 この風紀部はこんなこともしている。
「彼等はいずれも」
「生半可な相手では駄目だぞ」
「そうだ」
 議長もその言葉に頷く。
「いっそのこと我等全員で倒すか」
「いや、待て」
 ここで誰かが声をあげた。
「どうしたのだ?」
「遅れてすまん」
 会議室に一人の男が入って来た。やはり白服である。
「俺に任せてもらおう」
 彼は同志達にそう告げてきた。
「御前がか」
「駄目か?」
 男は議長に問う。
「俺では」
「いや」
 しかし議長は彼の言葉に首を横に振ってきた。
「構わない。しかしあの男は強いぞ」
「心配は無用な」
 男の顔もシルエットになっていて見えはしない。だがそのシルエットの中で不敵に笑っているのはその声でわかる。それを隠そうともしていないのもだ。
「確かにあの男は強いな」
 それを自分でも言う。
「だが俺はもっと強い」
 壁に背中をもたれかけさせ腕を組んでの言葉であった。その言葉には絶対の自信が見られた。
「それだけだ」
「倒してくるというのだな?」
「我が白服風紀部に逆らう者には容赦するな」
 男は語る。
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