第三十九話 鬼の風紀部その一
鬼の風紀部
白服の男から駄目出しをされたローリーであるが本人はそんなことは全く気にしてはいない。いつものようにいい加減な日常を送っていた。
「おっ、これいいな」
教室でファッション雑誌を読みながらチェックを入れている。
「これは買い、だな。あとこれも」
「ちょっと待った」
そこにギルバートがやって来て彼に声をかける。
「学校でファッション雑誌はまずくはないか?」
「いや、全然」
しかし彼はギルバートのその突込みを否定する。
「それはないから」
「校則にはなかったか」
「別にこんなのどうってことないさ」
彼は雑誌を左手でヒラヒラと持ってこう述べた。
「別にヌードとかそうしたものじゃないだろ?」
「まあ確かにな」
「だったらいいさ。僕だって校則はチェックしてるしね」
「本当か?」
ギルバートは今のローリーの言葉には懐疑的な様子を見せてきた。
「そうは思えないが」
「気のせい気のせい」
しかしそれはあっさりと否定された。
「成人向けじゃないならいいって書いてあるよ」
「そうだったか」
「そういうこと。だからいいんだよ」
「それならいいのだがな」
学級委員としてそれが気になったらしい。だからこそ言ったのだ。
「これでも風紀委員だしな」
「そういえばそうか」
ギルバートも本人から言われてそのことを思い出した。
「君は風紀委員だったな」
「富貴委員になりたいな」
ここで言葉遊びを仕掛けてきた。
「実際は」
「馬鹿を言え。そんな委員があるか」
だがそれは冗談の通じないギルバートによってあっさりと否定されてしまった。
「あったら凄いぞ」
「それもそうか」
「そうだ」
ギルバートはまた言う。
「そもそも質実剛健とかそういう考えはないのか?」
「ないね」
一言でそれを完全否定する。
「生活を楽しもうとは思うけれど」
「風紀部なのにか」
「そんなのは関係ないさ。僕はあれこれと堅苦しいのは嫌いなんだよ」
彼の考えを口に出してきた。話しながらまた雑誌のチェックに入っている。
「あんまりあれだこれだって決めても仕方ないんじゃないかな」
「僕はそうは思わないがな」
「それは君の考えだね。僕の考えは違うから」
それも否定する。やはり風紀委員の考えとしてはかなり型破りである。
「わかってくれるかな」
「しかし」
ギルバートは納得しながらもまた述べてきた。
「あの連中は別なようだな」
「ああ、彼等ね」
ローリーはギルバートが誰のことを言いたいのかすぐにわかった。
「彼等はまた別なんだよ」
「別なのか」
「少なくとも僕の考えとは合わないね」
少しにこやかに笑っているが口調はきっぱりとしていた。
「ああした考えはね。どうにも」
「そうなのか」
「そうだよ。だってさ」
彼は言う。
「彼等のやってることは強引過ぎるんだよ。押し付けがましいし」
「ううむ」
同じように押し付けがましいギルバートに対しての言葉だ。しかしどういうわけかローリーはギルバートに対してはやけに好意的であった。
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