第二百五十九話 ビールとワインその十
「もう飲めない人は特に」
「カイロが必要なの」
「じゃあその親戚の人なんて」
ここで話がつながった。そこにだ。
「それこそなのね」
「カイロがないとね」
「どうしようもないのね」
「それこそ」
「そう、カイロは欠かせないのよ」
まさにそうだというのだ。カイロがあってこそなのだ。
「お酒が飲めないとね」
「お酒かカイロか」
「そうなるんだ」
エイミーもポルフィも納得した。そしてだ。
それに加えてだ。アンネットはその二つを組み合わせて話した。
「ただ。両方必要な場合があるのよ」
「あんまりにも寒いとだよね」
「そう、ロシアだから」
そのだ。ロシアのあまりもの寒さ故にだというのだ。
「ウォッカだけでもカイロだけでも過ごせない時があって」
「そういう時はカイロだけじゃ辛い」
「そういうことなんだ」
「そう、もう極寒地獄だから」
まさにそれだった。ロシアにはそうした寒さも実際にあるのだ。
「厚着をしてカイロもたっぷりつけてウォッカを飲んで」
「そこまで重装備しないと外には出られない」
「ロシアって凄いね」
「だから犯罪者を流刑にしたら」
ロシアだけでなく連合ではこの時代もそうした刑罰がある。死刑にならない凶悪犯は流刑地で非常に粗末な設備や食事の中でだ。強制労働をさせられるのだ。
その彼等がだ。どうなるかというのだ。
「もう下手したらね」
「一発で凍死よね」
「もうそれこそ」
「ええ、ロシアの流刑囚の寿命は凄く短いの」
この辺りも変わっていないロシアである。
「食事も粗末で刑務所は寒いし」
「それも改善する気ないんだね」
「ロシアだから」
ポルフィに答えることも最初はここからだった。
「そんなこと考えないから」
「全くなんだ」
「ええ、そうよ」
まさにそうだというのだ。
「それに相手は凶悪犯だしね」
「死んでも構わないけれど」
「だから余計になの」
「そう、死ぬまでこき使うのよ」
犯罪者に対する連合での共通の考えではある。連合で加害者、犯罪者の人権が考慮されることはない。だから死刑も非常に多いのだ。
「そうしてね」
「成程。それでなの」
「そう、何の考慮もしないの」
本当に何一つとしてなのがロシア流だ。
「だからもう来てその日に氷の柱になるのもいるから」
「流刑地でウォッカは?」
「あえて支給されないの」
「そう、しないの」
やはりあえてであった。
「だって支給したらね」
「生き残るからよね」
「それでよね」
「ええ、そうよ」
まさにその通りだった。
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