第二百五十八話 呪いの仮面その三
だがその中でいない生き物がいるというのだ。それは。
「ライオンはいないわよね」
「確かにね。ライオンはいないわね」
「危ないからよね」
そうだとだ。ジョーも話す。
見れば周りにライオンはいない。それはいないのだった。
「やっぱり危ないから?」
「ライオンは猛獣だしね」
「いないのも当然よね」
「考えてみれば」
四人もライオンがいないのは何となくわかった。流石にあれだけの猛獣となるとだ。おいそれと放ってはいられないと考えたのである。
それで動物園の兄ちゃんに尋ねるとだ。兄ちゃんもこう言うのだった。
「そうだよ。危ないからだよ」
「やっぱりですか」
「そうなんですね」
「コブラと一緒だよ。危ないからね」
危険という意味ではライオンもコブラも一緒だというのだ。
「食べられたくないよね」
「その死に方はちょっと」
「勘弁して欲しいです」
四人もこう言うのだった。
「やっぱり。普通にピラミッドから帰りたいですし」
「そうした冒険は」
「そうだよね。それにね」
しかもだとだ。兄ちゃんはこうも話す。
「ライオンは砂漠駄目だからね」
「砂漠では生きていけないですか、ライオンって」
「そうだったんですか」
「そうだよ。ライオンはサバンナの生き物だから」
それでだというのだ。つまり棲息できる地域が砂漠ではないというのだ。
「こうした場所には放てないんだ。星によっては乾燥地帯に住むライオンもいるけれど」
「けれど砂漠にはいないんですか」
「ライオンは」
「ネコ科は水が好きだし」
これは虎がとりわけ顕著だ。ネコ科の動物はイヌ科に比べて水が好きなのだ。
「だからね」
「成程、ライオンも弱いものがあるんですね」
「砂漠は駄目だったんですか」
「ちょっと意外ですね」
「意外かな。僕はそうは思わないけれど」
知識のある兄ちゃんから見ればそうなのだった。
「これも普通だけれどね」
「ううん、その辺り違いますね」
「ネコ科ってそうなんですね」
「水が必要なんですね」
「うん、星によっては水ライオンなんてのもいるし」
サーベルタイガーから進化した半水棲のライオンである。
「だからね」
「ライオンには水ですか」
「水が必要なんですね」
「だから砂漠にはいられないんだ」
そうだというのだ。
「ライオンはね」
「だからなんですね」
「ここにはいないんですか」
「危ないし」
「そういうこと。けれどね」
それでもだとだ。兄ちゃんは言ってだ。
少し離れた場所を指差す。そこにあるのは。
「あれはあるから」
「ああ、スフィンクス」
「あれですね」
「そう、ピラミッドといえばね」
スフィンクスだった。エジプトではファラオの墓の守護者とされている。ギリシアの謎をかけてくるスフィンクスとはまた別物である。
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