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第三十八話 恐怖の生活指導その二
 生徒指導室。またの名を拷問部屋と言われている。二人はそこで正座させられていた。
 部屋の中自体は何の変哲もない。ごく有り触れた何もない伽藍とした感じであった。そこで二人は正座させられて先生と白服の男達に囲まれていたのであった。
「さて」
 先生は竹刀を手に正座している二人に問うてきた。今彼は二人の前に立っている。
 周りの生徒達はよく見れば男も女もいる。人種が様々なのは連合らしい。しかしその雰囲気は二十世紀の独裁国家というよりは特撮のそれであった。
「何故ここに連れて来られたかわかっているな」
「いいえ」
 ジャッキーは答える。
「何が何なのか」
「そうだよな」
 テンボもそれで応えて言う。
「何が何なのか」
「そうよねえ」
 ジャッキーはその言葉に頷き返す。
「一体どうして」
「全くだ」
「今までのことを思い出すといい」
 先生は何が何なのかわかっていない二人に対して述べた。
「君達の今までをな」
「だから先生」
 ジャッキーはまた先生に対して言う。
「あたし達何もしていないですよ」
「なあ」
 テンボはまたジャッキーの言葉に頷く。
「俺達品行方正な名探偵だよな」
「そうよ。それがどうして」
「いつも平気でエスケープしていないか?」
 先生はそれを指摘してきた。
「どうかな」
「どういえばそうだったかな」
 テンボは言われてそうかも知れないといった無責任な言葉で応えてきた。
「どうだった?」
「大したことないじゃない」
 ジャッキーも言う。
「エスケープ位ねえ」
「捜査に比べれば」
「どうやら全然わかっていないようだな」
 先生はそんな二人の言葉を聞いて述べた。
「やはりと思っていたが」
「やはりも何も」
 ジャッキーはそれを聞いて言う。
「エスケープなんて」
「校則違反なのは知っているな」
「全然平気ですよ」
 テンボが返す。
「そんなの。なあ」
「そうそう。捜査の為だもの」
「やはり反省していないな」
 先生も二人の無自覚な態度にこめかみを震わせていた。そうしながら述べる。
「ならば。最後の手段だ」
「はっ」
「それでは」
 風紀委員達が述べる。
「何しようっての?」
「名探偵は国家権力には屈しないぞ」
「一体何時から我が学園が国家権力になったのか」
 先生は二人の誇大妄想を通り越してそのまま特撮の世界の言葉にかなり呆れていたがそれでも言うのであった。言わずにはいられない。
「安心しろ。体罰をする気はない」
「そういやさっきのは」
「何だったんだ」
「座禅は体罰のうちに入りはせん」
 先生はかなり強引に主張してきた。
「気にするな」
「だったらいいけれど」
「何かなあ」
「とにかくだ」
 先生は言う。
「風紀委員達よ、やるのだ」
「はっ、先生同志」
 またしても訳のわからない単語を出す。同志という言葉もやはり特撮めいている。実際にこの先生は特撮研究会の顧問でもあったりする。
「それでは」
 彼等は二人を縛り上げた。それから山羊を一匹連れて来た。
「山羊?」
「虎じゃなくて?」
「恐怖のはじまりだ」
 風紀委員の一人が述べた。
「この山羊がな」
「山羊が恐怖!?」
「どういうことかしら」
「それはこれからわかる」
 先生は述べる。すると風紀委員達は二人の靴と靴下を脱がせた。
 それから足の裏に塩を塗る。そこに山羊を近付けさせたのであった。
「何かダンが見たら喜びそうね」
 ジャッキーは身体全体を縛られて裸足にされながらも余裕であった。
「そうだな、山羊の刺身でな」
「何かあたしも食べてみたくなったわ」
「残念だな、刺身ではないのだ」
 先生はまた彼等に述べる。
「この山羊は食べるものではない」
「じゃあ何なの?」
「紙を食べるの?」
「まさか」
 先生はそれを否定する。有り得ないということだった。
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