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第三十七話 華の四姉妹その七
「その時ね、私と飲み比べしようなんて言うから」
「それでどうしたんですか?」
「飲み勝ってやったのよ、ふふふ」
 そう蝉玉に答える。
「酔い潰れた時の顔ってなかったわ。相手を選べってことよ」
「はあ」
「そうですか」
「ふふふ、いいわね」
 ここで彼女は言う。
「私に勝とうと思ったらウワバミでも連れて来ることね」
「ですか」
「さあ、こんなのじゃ飲んだ気がしないわ」
 ここでボトルを妹と同じようにラッパ飲みして述べる。
「一本や二本じゃ駄目よ。もっと頂戴」
 そう言ってバケツみたいな杯を持って来させる。それを両手に持ってゴクゴクと飲みだす。その姿もベスのそれに負けず劣らず異様であった。
「ねえ、聞いてよ」
 ジョーはジョーであちこちに絡んでいる。
「その時私言ったんだけれどね」
「それで」
「どうなったんですか?」
 辟易する皆がそれに問う。彼等も無理矢理つき合わさせられている。
「駄目なのよ。言うこと聞いてくれないのよ」 
 彼女は泣きながら述べる。
「私の言うこと。折角言ったのに」
「そうだったんですか」
「私だって皆のこと思ってたのに」
 左手にウォッカのボトルを持って泣いている。
「それなのに。酷いでしょ?」
「ええ、まあ」
「そうですね」
「どうせ私なんか」
 急に涙をボロボロと流す。
「私なんかどうでもいいのよ。だから」
 三者三様で悪酔いしている。そんな姿を見て皆こっそりとエイミーに問うのであった。
「ちょっと待ってよ」
「これどういうことよ」
「どういうことって言われても」
 エイミーも困った顔でそれに答える。
「私も驚いてるのよ。こんなに悪酔いするなんて」
「そうなの」
「それも三人共だなんて。これはちょっと」
 困った顔のままだった。その目の前で三人は相変わらず絡んで笑って泣いて酒を飲み続けている。
「困ったわね」
「ギャラクティカ=ファントムのせいね」
 アンネットが言った。
「それもこれも」
「本人は何処なんだよ」
 トムがムッとしてフックを探す。見ればベスの下で四天王像の鬼のように踏まれている。
「・・・・・・自業自得ね」
「というかね」
 エイミーは言う。
「お姉ちゃん達がこんなにお酒強いなんて」
「しかも酒癖悪いわね」
 アンネットがまた言う。
「滅茶苦茶に」
「ええ。どうしようかしら」
 首を傾げて述べる。
「これから」
「なるようにしかならないんじゃないの?」
 アンネットの言葉は結構以上に無責任なものであった。
「台風が相手だからね」
「台風なの」
「そっ、台風」
 見れば将に台風だ。酒を飲んで好き放題している。
「だから。ここは見ないことにして」
「来たら逃げると」
「いいわね、それで」
「ううん」
 考えてみたがそれしかなかった。エイミーも腹を括った。
「じゃあ飲みましょう」
「そうこなくっちゃ」
 なかったことにして飲みはじめた。その後ろでは三つの台風が吹き荒んでいたがそれに構うことは一切なかった。エイミーは開き直ることにしたのであった。
 そのまま絡まれているのは放ったらかしにした。朝には何も覚えていない三姉妹と二日酔いで唸っている面々がいるだけであった。



華の四姉妹   完


                   2007・3・1
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