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八条学園騒動記
作:坂田火魯志



第四話 自分達だけ名探偵その三


「これが鍵よ」
「・・・・・・本気よね、彼女」
「多分」
 レミもアンネットもいい加減呆れ果ててきた。
「この鍵こそが事件のヒントよ」
「それは一体」
「それはね・・・・・・あっ」
 何を思ったか手を振ってそれがその棚のガラスを直撃した。ガラスは見事に割れてしまった。
「やれやれ、また掃除だよ」
「私がやるわ」
 ベンとアンネットの日直二人組は粉々に割れたガラスを見て溜息をつく。
「後で先生に言ってと」
「何か今日は厄日ね。朝からお掃除ばかりで」
「全くだよ」
「これが事件を解いていくわ」
 当のジャッキーはそんなことは何も気にしてはいない。全く平気な顔である。
「この鍵が」
「その鍵にどんな謎があるか」
「それはこれからのお楽しみね」
 だがそうはならなかった。事件は急に終わったからだ。
「悪いことしたな、皆」
 黒いリーゼントの陰のある顔の男が教室に花瓶を持ってやって来た。
「花瓶持って来たぜ、俺の部屋からな」
「ダン」
 クラスメイト達は彼に気付いて顔を向ける。このリーゼントの男はダン=シンゴという。沖縄出身でクラスでは不良と言われている。その彼が花瓶を持って来たのだ。
「アンネット、花瓶かたしてくれたのか?」
「これ貴方がしたの?」
「ああ、登校した時にな。ぶつけてちまって」
 ダンは答える。なおダンが姓でシンゴが名前である。アジア式の名前になっている。
「それで代わりの持って来たんだ。皆すまないわ」
「いいっていいって」
「代わり持って来てくれたんだし」
「そうか」
 注目されいい人になっていくダン。
「じゃあここに置いとくな。これで元通りか」
「何だ、これで一件落着だ」
「よかったよかった」
 だがそうはいかないのが二人いた。
 テンボとジャッキーである。二人は皆から賞賛の声を受けるダンに嫉妬しているわけではない。二人のいいところは他人に嫉妬とかそういった感情を抱かないことである。







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