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第二百三十九話 嵐の前その八
「ここで重要なことはだ」
「何ですか、それは」
「まだあるんですか」
「大事なことが」
「そうだ、お嬢様達とは協力する」
 そこを念押ししての言葉だった。まさにそれだった。
「張り合うようなことは止めろ」
「チームワークですか」
「それですね」
「それを肝に命じてですか」
「それも」
「そうだ。仲間割れが一番よくない」
 それがだ。よくわかっているというのである。
「それが何もかもを悪くさせる」
「そういうことですね。やっぱり」
「お嬢様とですか」
「張り合ってはならない」
「仲間としてやっていくんですね」
「張り合いまでして勝てる相手か」
 またしてもだ。警視の言葉はシビアである。それは現実を見据えているものだった。それを見据えながらだ。また話をするのだった。
「ルパンだぞ、相手は」
「勝てませんね、絶対に」
「あのルパンが相手だと」
「どうしても。それは」
「無理ですね」
「絶対に」
「そうだ。それは絶対にあってはならない」
 警視は念押しする。何度もだ。
「いいな、今回俺達は脇役だ」
「脇役に徹してですね」
「あのお嬢様と協力して」
「そしてルパンを捕まえる」
「そうしますね」
「手柄も焦るな」
 それも釘を刺す。
「手柄はルパンを捕まえることだ」
「それが手柄ですか」
「そのこと自体がですね」
「だからこそ」
「特に大事なのはだ」
 警視の考えは慎重に慎重を重ねている。まさに石橋を叩いて渡るだ。
「盗まれるな」
「浮世絵をですね」
「それが一番大事なんですね」
「ですから」
「そうだ。浮世絵を護ることだ」
 この言葉にだ。警官達の身が引き締まる。心もだ。その引き締まる気持ちのままにだ。警視の言葉を聞いてそうなっているのである。
「盗まれるとだ」
「お話になりませんね」
「それではです」
「どうしようもありません」
「そうだ。盗まれるな」
 警視は実際にその浮世絵を見た。それは今も確かにある。
「それだけは死守する」
「それが俺達の手柄になりますね」
「そのまま」
「理想はルパンを捕まえる」
 まずはそのことだった。
「しかし最低限の目標はだ」
「盗まれないことですか」
「それが手柄になりますね」
「つまりは」
「そうだ。それがそのまま最高の手柄になる」
 そのものがだというのだ。
「わかったな」
「はい、よく」
「そういうことでしたら」
「俺達も決めました」
 こうだ。警官達もそれぞれ言う。
「浮世絵、守ります」
「その為にもここは」
「チームワークですね」
「チームワークがあるとそれだけで有利になる」
 スポーツの話になっていた。それが入っていた。
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