第二百三十八話 依頼者その四
「そこに面白さがあります」
「そして互いに高みを目指す」
「より一層の人間としての成長を」
「怪盗であってもそれを目指す人は」
それが即ちルパンというのである。
「いいというのが私の考えです」
「確かにルパンは怪盗ですが」
「それでもですね」
ルパンがどういった人物かはだ。ラメダスもベッキーもわかっていた。それもよくだ。
「人間としての誇りがあり」
「モラルもありますね」
「あの方は紳士です」
セーラはルパンをこう評した。
「立派な紳士です」
「それは代々ですしね」
「初代から代々の紳士です」
アルセーヌ=ルパンは怪盗であったが紳士であった。しかも愛国者でもあった。義賊であり相手はあくまで悪党や権力なのだ。
そしてだ。当代のルパンもだ。
「あの方も盗むものは」
「そうですね。予告をしてから」
「そのうえで、ですし」
「相手は悪人や強大な相手だけです」
「八条学園も然り」
八条学園といえば八条グループの中にある。連合屈指のコンツェルンのだ。そうした意味では八条グループは権力になるのだ。
その八条グループについてだ。彼等はさらに話す。
「連合でも有名なグループだからこそ」
「相手として選び」
「そして盗むものもですね」
「国宝級のものですか」
「それでこそあの方です」
ルパンだというのである。
「だからその方とです」
「はい、勝負をしてですね」
「一歩も引かない」
「そしてお互いに切磋琢磨して」
「成長していきますか」
「この生において私は」
マウリア人らしい言葉をだ。セーラは出した。
「これ以上はない好敵手に巡り会えました」
「怪盗アルセーヌ=ルパン」
「あの方と」
「これは運命です」
またしてもマウリア人らしい言葉だった。
「この運命を喜んで受けましょう」
「はい、それでは」
「我々も」
「出陣ですね」
セーラは微笑んで述べた。
「今から」
「わかりました」
「それでは」
こうしてセーラ達も出陣したのであった。このことはすぐにだった。
ルパンの耳に入った。彼は部下達の報告をアジトで聞いていた。そのうえで満足した笑みを浮かべてだ。ワイングラスを片手にして言った。
「素晴しい」
「あのお嬢様と競えることがですね」
「それでなのですね」
「そうだ、今回は競うことはないと思っていた」
彼はそのことを危惧していたのだ。
「しかしそれがな」
「どうもあの長官が動いたようですし」
「中央政府国防長官であるあの長官殿が」
「八条義統氏だな」
ルパンはその彼の名前も言った。
「あの長官殿ともな」
「何時かはですね」
「競いたいですか」
「あの長官殿も私の相手足り得る」
そこまでの人物だとだ。ルパンは認めているのであった。
「何時かはわ」
「左様ですか」
「競いたいですか」
「そうだ、そうしたい」
また言うルパンであった。
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