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第三十五話 十三日の月曜日その三
 教室に復帰すれば懐中電灯が落ちてきた。弁当のキムチは腐っていてまた当たった。まさに不幸続きであった。
「マジですげえの取り憑いてるんじゃねえのか?」
「幾ら何でも異常だろ」
 昼休みは暴れ馬に蹴られて顔に馬の足跡がついている彼に皆言う。
「これがその不幸か」
「あと半日あります」
 セーラは彼に述べる。
「あと半分です」
「半分もあるのか」
 他人は半分しかないと思うが当事者は半分もあると思う。不幸とはそういうものである。
「頑張って下さい」
「わかったよ。もう何があってもな」
「その心意気です」
「フォローしねえんだな」
「フォローといいますと?」
 セーラは逆に彼のその言葉に問う。
「何か」
「いや、わからねえならいい」
 もうこれ以上言う気もなかった。
「とにかくまだ半日か」
「はい、後は夜の世界です」
「今度は何がどうなるやら」
 それが不安で不安で仕方がないだが碌なことにならないのだけはよくわかった。それはもうわかっていた。今までのことで。
「まあいい」
 彼は言う。
「何があってもな」
 ここで窓から火の玉が飛んできた。それが顔を直撃して頭を燃やす。
「今度は何なんだよ」
「妖術ですね」
 セーラが答える。
「これは」
「ベッキーか?」
 頭から水を被りながら言う。
「妖術っていうと」
「はい、これはそうですね」
 セーラはそれに応えて述べる。
「大丈夫ですか?」
「火も剛速球もさっきかったからな」
 彼はもう平気であった。
「これ位はな」
「そうですか」
「すいません」
 ベッキーが謝るが彼は別に平気であった。
「いや、いいさ。まだこの位はな」
「そうですか」
「そういやベッキーさん」
 彼はここでふと気付いた。
「あんたとラムダスさんってあれだよな。確かここの生徒じゃないんだよな」
「ええ、そうです」
 ベッキーはそのことに何の迷いも淀みもなくそれに答えた。
「それがどうかしましたか」
 少し見れば彼等が学校に通う年頃ではないのはわかる。二人共どう見ても二十はゆうに越えているからだ。幾つなのか詳しいことは誰にもわからない。
「いや、いいよ」
 そんなことは今の洪童にとっては実に些細なことであった。そうとしか思えない程今の彼はとんでもない状況にあったからだ。そもそも教室にいきなり妖術の火の玉が来るということ自体がとんでもないことであるしだ。
「それはさ。気をつけてくれれば」
「わかりました」
 ベッキーはその言葉に頷く。まだ凶事はある。それを思うと身構えずにはいられなかった。
 授業中にも不幸はある。何とシャーペンがいきなり折れてそれが額に刺さるわ居眠りをしようとすれば先生のチョークが直撃するわであった。最後は自業自得だがそれでも彼にとっては不幸であった。
 教室に復帰すれば懐中電灯が落ちてきた。弁当のキムチは腐っていてまた当たった。まさに不幸続きであった。
「マジですげえの取り憑いてるんじゃねえのか?」
「幾ら何でも異常だろ」
 昼休みは暴れ馬に蹴られて顔に馬の足跡がついている彼に皆言う。
「これがその不幸か」
「あと半日あります」
 セーラは彼に述べる。
「あと半分です」
「半分もあるのか」
 他人は半分しかないと思うが当事者は半分もあると思う。不幸とはそういうものである。
「頑張って下さい」
「わかったよ。もう何があってもな」
「その心意気です」
「フォローしねえんだな」
「フォローといいますと?」
 セーラは逆に彼のその言葉に問う。
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