第二百二十九話 アメリカンシティにてその七
「それでもよ」
「それでもなんだ」
「そう見ていましょう」
蝉玉はまたスターリングに話す。
「とりあえずはね」
「わかったよ。それじゃあね」
「私達は私達で」
ここでこう言った蝉玉だった。
「楽しみましょう」
「そうだね。二人についていってね」
こうしようという二人だった。そしてだ。
その二人にだ。メアリーが顔を向けて尋ねてきた。
「あの」
「あっ、はい」
「何ですか?」
「二人共アメリカンシティにはよく出入りするのかしら」
「ええ、結構」
「私もです」
これが二人のメアリーへの返答だった。
「アメリカ人ですし」
「こういう場所好きですし」
「じゃあ詳しいのかしら」
今度はこう言うメアリーだった。
「それだったら」
「それだったら?」
「っていいますと」
「案内してくれるかしら」
これがメアリーの二人への言葉だった。
「アメリカンシティの中を」
「はい、それでしたら」
「喜んで」
二人は今のメアリーの提案にはすぐに答えた。
「美味しいお店とかチェックしてますし」
「あとファッションも」
「私ってあれなのよ」
メアリーは少し困った苦笑いになって話す。
「方向音痴だから」
「そうだったんですか」
「方向音痴って」
「ここにも何回か来てるけれど」
それでもだというのである。
「それでも。よくわからないの」
「実はメアリー姉さんって」
トムもここで言ってきた。
「あれなんだ。方向音痴なんだ」
「御免ね、それは」
「そういえばカナダ人って結構」
「そうよね」
スターリングと蝉玉はあることに気付いた。カナダ人の特性の一つにだ。
「方向音痴の人多いような」
「どうしてかしら」
「だってねえ」
「そうよね」
ここでこんなことを言うカナダ人二人であった。
「カナダって。広い場所が多いから」
「森林とか平原とか」
「ツンドラだって多いよね」
「自然が豊富な惑星が多いの」
カナダはこの時代多くの星系を領有している。その数は連合屈指である。しかしその人口は百五十億と意外と少ないのである。
「それに人もあまり多くないから」
「だから」
「ごみごみしたところ少ないんだ」
「そうなの」
「実はそうなんだ」
「街もシンプルになってて」
市街地もだというのである。
「ごみごみしたところは苦手なんだ」
「カナダ人は」
「ううん、アメリカの街って道が入り組んでるからね」
「中国だって」
二人はそれぞれの基準を元に話をするのだった。
「もう方向音痴だとね」
「大変なことになるから」
「日本自体凄くない?」
「そうよね」
トムとメアリーは今彼等がいるその八条学園のある日本の話もした。
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