第三十三話 動物以下その五
「じゃあ取り調べでも何でもしてくれ」
「よし、いい覚悟だ」
「あたし達はね、吐かせるのでも天才なのよ」
「絶対字が違うよね」
ロミオはまたジュディに言った。
「まああいつ等だからね」
これがジュディの言葉だった。勿論二人もフックが犯人だとは全く思ってはいない。そもそも有り得ない話なのだ。彼が犯人だと言う方がおかしい。
「さて、じゃあ」
「吐いてもらうぞ」
「拷問でもするのかい?」
「拷問ですって!?」
何故かそれを言われたジャッキーは急に不機嫌な顔になってきた。
「馬鹿なこと言わないでよ」
「そうだそうだ」
テンボもそれに抗議する。
「あたし達は真っ当な探偵よ」
「拷問なぞするか」
「何処が真っ当なんだよ」
「笑うところか?」
皆は二人の今の言葉に突っ込みを入れる。しかし二人の耳には入らないので二人にとっては何の問題もない。実に見事なことに。
「そんなことはしないわ」
「そうだ、これで」
テンボは真ん中に穴の開いたコインのようなものを出してきた。そこに糸をかけている。
「さあ、覚悟はいいな」
不敵な笑みを浮かべてフックに問う。
「この俺の催眠術で」
「今度は催眠術かよ」
「何の苦しみもなく吐かせてあげるわ」
ジャッキーまで何故か得意げになっている。二人はゆっくりと二人に近付く。そして催眠術をかけてきた。
「貴方は段々眠くなる」
テンボはコインをゆっくりと振り子に動かしながら言う。
「さあ、もう瞼を開けていられなくなる」
「眠くな〜〜る眠くな〜〜る」
ジャッキーも一緒になっていた。寝たのは二人であった。床の上に崩れ落ちていく。
「何かねえ」
ジュディはそんな二人を見て呆れた声を出す。
「お約束ね」
「これは絶対に起きないよね」
「そうね」
ロミオの言葉に頷く。
「それでさ、フック」
ジュディは今度はフックに声をかけた。
「犯人は誰だと思う?あんたは」
「犯人か!?」
彼は一旦窓の方を見てからそれに応える。
「あれだろ。校庭で遊んでいた誰かが間違えて投げ込んだんだろ」
「でしょうね」
ジュディも同じことを考えていた。普通はそう考える。
そこに来客だった。一年生が数人教室にやって来た。
「あの、すいません」
「あら」
ジュディは彼等に顔を向けた。見ればマーフィが一緒だ。
「僕達がやりました」
「どうしようかと思ったらこのオオウミガラスが来て案内されました」
彼等はそう述べる。
「あの、誰か怪我しませんでしたか?」
「ああ、俺」
いいタイミングでカムイがひょっこりと起き上がってきた。
「怪我はねえから。安心しな」
「すいません」
「いや、いいってことさ」
一旦はにこりと笑って許す。しかし。
「そのかわりな」
「はあ」
「誰か彼女紹介しろ」
彼は後輩達にこう声をかけてきた。
「えっ!?」
「タンコブのお詫びはそれでいいぜ。だからよ」
「はあ」
何時の間にかそんな話に持ってきていた。だがそれは背景になり話は解決の方に向かっていた。
「あんたが犯人を見つけたの」
「カァ」
マーフィはジュディの言葉に応える。
「お手柄ね。一件落着」
「後は窓ガラスが入れば終わりだね」
ロミオは割れた窓を見て言う。
「そうね。けれどねえ」
呆れた顔で寝ているテンボとジャッキーを見る。
「まさかとは思ったけれど」
「やっぱり動物以下だったか」
疑われた本人はかなり辛辣であった。フックは二人をかなり酷評してきた。
「ったくよお」
「で、これどうするの?」
ジュディが皆に言う。
「さあ。机に寝かせとけばいいんじゃないの?」
ビアンカがそれに応えて言う。
「どっちみにいつも授業中は訳わからない推理小説読んでるだけだし」
「そうね。じゃあそうして」
「決まりね」
話は何時の間にか二人不在で終わった。だが話は話を呼ぶ。何とカムイが騒ぎを起こるのであった。彼もまたトラブルメーカーであった。
動物以下 完
2007・2・3
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