第二百二十七話 素朴な味付けその一
素朴な味付け
まず出て来たのはだ。様々な山菜に肉を入れた鍋であった。
「オハウです」
「どうぞ」
こう二人に話すナコルルとリムルルだった。
「まずはこれを召し上がってです」
「お身体を温めて下さいね」
「ああ、それはいいな」
「そうだよな」
カムイも洪童も二人の言葉に笑顔になる。見れば透き通っていて油の浮いた湯気を出す汁にだ。本当に多くの野菜や肉が入っていた。
そしてその肉は、だった。
「これ何の肉なんだ?」
「狼です」
ナコルルが答えてきた。
「狼のオハウです」
「狼か、これ」
「はい、味付けは塩と狼のその油でしてます」
「狼っていうとあれだよな」
カムイはそれを聞いて説明するナコルルに対して言うのだった。
「犬と味は」
「はい、近いです」
実際にそうだと答えるナコルルだった。
「元々犬は狼からなったものですから」
「豚と猪の関係と同じだな」
「はい、そういうことです」
まさにそうだというのであった。
「ですから特に不思議に思われることはありません」
「犬は食べたことあるけれどな」
「俺もだ」
それは洪童もだった。犬はアイヌや韓国だけでなく連合全体で結構食べられているのである。連合では様々なものが食べられるのだ。
「ああいう感じか」
「なら抵抗はないよな」
「じゃあ早速な」
「食べるか」
「はい、では」
ナコルルはにこりと笑って二人に言ってきた。
「召し上がって下さい」
「よし、じゃあな」
「食べるか」
こうして二人はそのオハウを食べはじめる。木製の箸とその箸と同じく木製のスプーンを使ってでだ。するとであった。
「あっ、これは」
「ああ」
まずは二人で言い合う。
「アクは取ってないんだな」
「その味がするな」
「それにダシは魚か」
「それに昆布も入れてるな」
「おわかりになられますか」
今度はリムルルが言ってきた。
「それも」
「ああ、これでも味覚の鋭さには自信があるんだ」
「俺もだ」
二人でこう言うのであった。
「だからそれはわかるさ」
「細かいところまでな」
「山菜の味も出てるな」
「それで肉のアクも消したか」
「はい、そうしています」
ナコルルの話だった。
「お肉のアクは取らずに山菜に吸わせます」
「そういう料理か」
「これは」
「私達アイヌはです」
ナコルルはここから話すのだった。そのアイヌからだ。
「元々狩猟民族です」
「あっ、そうか」
言われてまた気付いたカムイだった。はっとした顔になっている。
「そういえばそうだったよな」
「って御前アイヌ人だろ?」
洪童が思わず問い返した。唖然としてだ。
「何でそれ知らないんだ」
「いや、今のアイヌの産業ってな」
「猟師さんとかいるだろ」
「いるけれど少ないぞ」
こうだ。いぶかしむ顔で洪童に話すのだった。
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