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第二百二十三話 優しい狼その二
「あれなのよ」
「確かチャンスンマハ?」
「それだったわよね」
「名前は複雑だけれどね」
 笑いながら話すナンであった。
「実際はただ茹でただけだからね」
「羊の骨付き肉を塩茹でだったよね」
 ネロがその料理について話した。
「それのことだったよね」
「そうよ、それよ」
 まさにそれであった。
「それがメインでね」
「うん」
「後は乳製品よ」
 次はこれであった。
「馬のね」
「モンゴル料理だね、本当に」
「それとボーズもあるから」
 それもだというのだ。
「ほら、あの包んだやつね」
「餃子とかお饅頭みたいなあれよね」
 アロアもこれは知っていた。前にナンに食べさせてもらったからだ。これもまたモンゴル料理という訳である。モンゴル料理にも種類があるのだ。
「確か」
「そうよ、それもあるから」
 まさにそれだというナンだった。
「今回はバリエーションも考えたから」
「別にそこまでしなくていいよ」
 ネロはにこやかに笑ってそれはいいとした。
「何か悪いよ、それは」
「いいのよ。モンゴル人はおもてなしが大好きなのよ」
 ナンもまたにこやかに笑って言う。
「お客さんは神様のお使いだから」
「何かそれってあれよね」
 アロアがここであることに気付いた。
「ルシエンも言うわよね」
「あっ、そうだね」
 アロアの言葉を聞いてネロも気付いた。
「彼もだよね」
「トルコもそう言うらしいけれど」
「モンゴルもなのよ」
 ナンはまた答えた。
「そういうことなのよ」
「そうなんだ。遊牧民って」
「そういう考えがあるのね」
「そういうことね。それじゃあ」
 ナンはだ。あらためて二人に言った。
「中に入って」
「うん、じゃあ」
「お邪魔します」
 二人はパトラッシュと共にそのゲルの中に入った。するとだった。
 もうそこにはジョン達がいた。そしてである。あの狼もいたのだった。
 狼はゲルの一角に蹲っていた。そしてへっへっへっ、と舌を出している。その仕草を見てだ。ネロは面白そうに笑って話した。
「そういうの見たらやっぱりあれだよね」
「犬に見えるでしょ」
「うん、本当に」
 実際にそうだとナンに返す。言葉を返しながら機械の暖炉の前に座る。他の面々もそれぞれそこに座っていて車座になっている。
「やっぱり狼から犬になったんだね」
「そうよ。それでなのよ」
「犬だね、本当に」
 また言うネロだった。
「パトラッシュと同じなんだね」
「そういえばあれだね」
 今度はジョンが話す。彼もラッシーが傍に礼儀正しく座っている。
「シェパードとか日本の秋田犬とか甲斐犬とかいるじゃない」
「あと柴犬だね」
 ジョルジュも言ってきた。
「そういう犬だよね」
「そういう犬って狼そのままだよね」
 ジョンはこう言うのだった。
「本当にね」
「そうだよね。狼って本当に犬の祖先なんだね」
「だから怖がる必要なんてないのよ」
 ナンはこのことを力説した。
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