第二百十八話 白々しいスキャンダルその九
「それ以外の何でもないよ。身体の一部って言ってもいいね」
「言うわね。けれど」
「けれど?」
「あんたが言うと説得力があるわよね」
こう言って笑うナンシーだった。
「本当にね」
「そうかな」
「あるわよ。じゃあ私はこの記事を書いたら」
「デートだよね」
「えっ、そ、それは」
ナンシーはジョルジュの今の言葉に急に狼狽しだす。
「ななな、何でそうなるのよ」
「言葉が焦ってるよ」
「それは錯覚よ」
「錯覚?」
「そうよ、心の錯覚よ」
それだというのだ。
「だから違うわよ」
「心の錯覚って何?」
「知らないの?そういうものもあるの」
そうだとだ。強引にそういうことにするのであった。
「だからそれなのよ。わかった?」
「わかったって。やっぱり強引だよね」
「いいのよ」
挙句には開き直りであった。
「そういうことだから。いいわね」
「わからなかったらどうするの?この場合は」
「無理にでもそう思ってて」
やはり強引であった。
「いいわね」
「わかったよ。それじゃあね」
「そういうことだから」
ナンシーは何とか落ち着きを取り戻して言った。
そしてだ。パソコンを出してそのワードで記事を書きだしていた。タイプの速度はかなりのもので次から次に文字が書き込まれていく。銀河語だ。
「そういえば」
「そういえば?」
ナンシーは書く途中に言いジョルジュもそれに応える。
「ここって日本語の新聞もあるわよね」
「日本だからね」
こう答えるジョルジュだった。
「やっぱりね」
「日本だから当然よね」
「うん、どの国でも銀河語とその国の言葉は習うからね」
つまり全ての国で二つの言葉を教えているのだ。その授業時間もかなり細かく決められている。
「だからここもね」
「銀河語が第一言語だったかしら」
「確かね」
これもどの国でも同じである。
「そうだよ」
「だったわよね。連合だし」
「っていうか銀河語だ第二言語っていうのもね」
ジョルジュは自分で言って気付いた。
「それはないか」
「ないわね。マウリアじゃないし」
「まあ銀河語は何処でも通じる言葉だけれど」
こんな言葉も出た。
「マウリアでもサハラでもね」
「そう思うと便利な言語よね」
「覚えないといけない文字の種類は多いけれどね」
銀河語はアルファベットに漢字、それにキリル文字に平仮名まで混ざっている。ハングルもある。とにかく色々な文字が入っているのである。
「それでもね」
「覚えると便利よね」
「っていうかさ」
ここでジョルジュはまた言った。
「日本語よりはずっと簡単じゃない?」
「そうね」
ナンシーは記事を書きながら頷いた。
「文法も言葉もね」
「同音異句多いしね」
「っていうか多過ぎよ」
突込みを入れるナンシーだった。
「全く以てね」
「そうそう。それで」
「それでよね」
「日本人も使いにくいって言ってるし」
ネイティブスピーカーにすら言われていることだった。
「それがね」
「厄介な言葉よね」
「全く。それで日本語の新聞だけれど」
「私そっちは知らないのよ」
ナンシーは書きながら首を傾げさせる。
「読めないしね」
「僕も。凄い記事ばかりらしいけれどね」
そんな話をしながらだった。ナンシーは記事を書いていくのだった。そしてであった。その記事を書いた後ですぐにある場所に消えたのだった。
白々しいスキャンダル 完
2010・9・16
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