第三十話 秘密の花園その三
「部長にもそれ言われたけれどお断りしたわ」
「何でですか?」
言われて不思議に思った。それで彼女に尋ねる。青いソフトクリームを食べながらだ。梨の味とソフトクリームの味が絶妙に絡み合って実に美味い。
「わからない?」
そう問うて泣きそうな目をしてきた。
「えっ!?」
「だから。デートよ」
ナンシーは言う。
「二人きりになりたいから。だからよ」
「そうだったんですか」
「そうよ。わからないの?」
「すいません」
彼氏はナンシーの泣きそうな目に何と言っていかわからずとりあえずは謝った。
「そこまでは」
「わかったらいいわ。けれどね」
「はい」
「写真お願いね」
ナンシーはこう言ってきた。
「その為に来てもらったってことになってるから。いいわね」
「わかりました。それじゃあ」
「ええ。それでね」
ナンシーは機嫌を戻して生き生きとした顔になってきていた。そのうえで述べる。
「そのお花畑だけれど」
「はい」
「チューリップで有名なのよ」
「チューリップですか」
「そうよ。ほら」
ここで懐から取り出した一枚の写真を彼に見せる。
「どう、これ」
「凄いですね」
そこには様々な色のチューリップが満開であった。他の花も咲き誇り実に美しいものであった。彼もそれを見て心奪われていた。
「これは」
「そこの取材だから。文章は私だからね」
「じゃあ僕は写真ですね」
「そうよ。お願いね」
「わかりました」
元気のいい様子で頷く。
「じゃあ」
「それでね」
ここでこっそりといった感じで囁いてきた。
「お願いがあるんだけれど」
「何ですか?」
「写真をね。撮って欲しいのよ」
本当にそっとした感じで囁く。
「いいかしら」
「いいですけれど。また何で」
頼み込んできたのかわからない。彼はつい首を傾げてしまった。
「いいわよね」
「ええ、まあ別に」
理由はわからないがそれに頷くことにした。
「それでしたら」
「よかった。それじゃあまずはお仕事済ませちゃいましょう」
ナンシーはにこりと笑って述べてきた。
「それで後は二人でゆっくりとね」
「ええ。それにしても」
「何?」
「このソフトクリーム美味しいですね」
彼はソフトクリームに話を移してきた。
「それもかなり」
「そうでしょ?だから買ったのよ」
彼女はまたにこりと笑ってそれに応えてきた。
「一緒に食べたいから」
「先輩・・・・・・」
「ちょっと、二人の時は違うでしょ」
本当に普段とは全然態度が違う。そんな彼女を見てつい彼は言うのであった。
「あっ、そうでしたね」
「そうよ。二人きりの時は」
「ナンシーさん」
「ええ。名前で呼んでね」
デレデレとした感じで述べる。
「周りに誰もいない時は」
「わかりました」
「じゃあ。もうすぐよ」
ナンシーは少しそのデレデレした感じから抜け出て言ってきた。
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。