第二百八話 猿との戦いその二
「それが軍人だからな」
「渡す前に食え」
「それ位なら、ですね」
「そういうことだ」
結論はこれであった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「何があっても渡しません」
「そして生き残ります」
「猿は凶暴だ」
大佐はこのことも言うのであった。やはり真剣な顔である。
「いいな」
「殺されますか、下手をすれば」
「猿に」
「千匹の凶暴な猿だ」
数もあるのだというのだ。
「それだけでわかるな」
「確かに」
「捕まればもうそれで」
「ズタズタですね」
「この服はそう簡単に破れはしない」
大佐は自分達が着ているその特殊な迷彩服についても話した。
「しかしこれだけの数にはだ」
「油断はできない」
「そういうことですね」
「そうだ」
まさにその通りだというのである。
「わかったな」
「イエス、サーーー!!」
軍隊の返答であった。正規軍では殆どないものだが義勇軍では普通である。
「わかりました!」
「それではだ!」
「イエス、サーーー!!」
また返答をする。そのうえでだ。
「総攻撃だ!」
「了解!」
「一千匹!軽いであります!」
「楽勝であります!」
口々に叫んでだ。マシンガンを放つ。
猿達も襲い掛かる。まさに命懸けの勝負だった。
「キキーーーーーーーッ!!」
「ウキャーーーーーーーッ!!」
「撃っても死ぬことはない!」
「イエス、サーーーーー!!」
この返答で応える間も銃撃を行う。
「だから遠慮なくですね!」
「そうでありますね!」
「そうだ!」
大佐もマシンガンを持っている。彼は上に向かって撃っている。そのうえで木の上から襲い掛かるその猿達の相手をしているのである。
「何の遠慮も無用だ!」
「死なないなら!」
「動物園からクレームがつかないなら!」
猿に対しては非常時はいいとしてもそれは気にしているのだ。
「遠慮なく!」
「撃たせてもらいます!」
「弾幕を張れ!」
そのマシンガンの一斉射撃によってだという。
「いいな、一匹も近寄らせるな!」
「はい!」
「わかりました!」
彼等はハエトリソウを廻って猿達と死闘を繰り広げていた。しかし二年S1組の麺万にはそれは射撃音でしかわからないことであった。
ジャングルの中から聞こえるそれを耳にしてだ。彼等は話すのだった。
「あの、あれって」
「銃撃ですよね」
「それもかなり派手な」
「はい、そうですね」
本当に動じないガイドさんである。
「どうやらお猿さん達と死闘を繰り広げているみたいですね」
「そのままベトナムですね」
そのベトナム人のネロの言葉である。
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