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第二百六話 水の中でもその七
「ほら、マナティーだっているし」
 最初にそのマナティーを指摘する。見れば静かな場所に群で暮らしている。穏やかにそこにある水草を食べてだ。そのうえで暮らしている。
「あそこにいるし」
「他にもイルカもいるしね」
「そうよ。猛獣ばかりじゃないのね」
「アマゾンには色々な動物がいますよ」
 ここでまた話すガイドさんだった。
「本当にね」
「そうですか、色々なんですね」
「色々な動物が」
「はい、いますから」 
 話は元に戻ってはいた。
「穏やかな動物もいますよ。当然ジャングルの中にも」
「らしいわよ」
 ペリーヌはここまで聞いてレミに話した。二人は一緒の席に並んで座っている。そのうえでにこやかに話をするのである。そうしていた。
「どうやらね」
「ああ、バクとかね」
 レミは話を聞いてすぐに頷いた。
「他にも色々といるしね」
「そういう動物もいるのね、ちゃんと」
「そりゃ生態系は猛獣ばかりじゃ成り立たないから」
 これは一応正論であった。彼等も正論を話しはしていた。
「そうした動物もいるわよ」
「まあそうだけれどね。肉食動物ばかりじゃね」
 ペリーヌも少し考えてだ。そのうえで答えた。
「やってけないわよね」
「川の中だって小魚一杯いるでしょ」
「ええ」
 今丁度だ。魚の群が団子みたいになっていた。直径数メートルの団子である。
「あれよね」
「だからジャングルの中でもね」
「まともな動物も多いのね」
「ええ、ただし」
 しかしここでしかし、となるのがアマゾンであった。
「気をつけてね」
「やっぱり?」
「ええ、カエルはわかるわよね」
「ドクガエルね」
「それもいるけれど」
 ここでまた話を変えたレミだった。
「それでも普通のカエルも一杯いるから」
「普通のなのね」
「ちょっと変わってるだけよ」
 引っ掛かる言葉であった。
「ちょっとだけよ」
「本当にちょっとだけ?」
「多分ね」
 レミの言葉がここでは少し変化した。
「ちょっとだけよ」
「何か他にも一杯変な蛙がいそうね」
「主観によってはそうね」
 レミはこうペリーヌに返した。
「ひょっとしたら」
「ひょっとしたらって」
「恐竜の子供を食べる蛙がいるけれど」
 こんなことを言うのだった。
「気にしない気にしない」
「気にするわよ。やっぱりとんでもない蛙もいるじゃない」
 ペリーヌはむっとした顔でレミに返す。
「恐竜の子供って」
「ベルゼフォンっていってね」
 蛙の名前も話された。
「ツノガエルの大きなもので」
「そういうのもアマゾンにいるの」
「そうなのよ、熱帯の生き物だからね」
 それでいるというのである。
「これが物凄い大きさで。四十センチもあってね」
「蛙で四十センチなの」
「他にも一メートルはある蛙もいるし」
 とんでもない存在はまだいるのであった。最早怪物の世界である。
「凄いから」
「やっぱりとんでもないじゃない」
 ペリーヌは目を少し細くさせて白けさせたものにさせてレミに返した。
「何よ、その一メートルっていうのは」
「まあ見ていきましょう」
 レミは至って平気であった。
「そのアマゾンをね」
「こんな場所軍隊でも入れないんじゃないかしら」
 ペリーヌはこんなことも考えるのだった。そうしてであった。
 バスはさらに進む。そのうえで様々な動物達を見ていた。


水の中でも   完


                  2010・6・3
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