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第二百一話 狂気の探偵その五
「訳のわからない動きが多いよな」
「理屈が通らないっていうかな」
「本当にな」
 そうしてだった。さらに言うのであった。
「しかし単身あの巨大戦艦に殴り込むか」
「というか絶対に辿り着けないだろ」
「空にあるんだぞ」
 しかしシャバキは飛んでいる。常識も理屈も完全に無視しているがそれでもだ。彼は実際に空を飛んでいる。それは間違いなかった。
 それを見てだ。また言うのだった。
「実際に飛んでいるからな」
「けれど生身で何千メートルも飛べるか?」
「普通は絶対に無理だろ」
 これが常識である。
「しかし。あいつだからな」
「溶岩も出したしな」
「何でもありだからな」
 まさに常識も理屈も無視する。それがシャバキだ。
 そして巨大戦艦に向かって突き進む。しかしであった。
 巨大戦艦の方も唖然となっている。だが彼等も軍人だ。冷静な対応はできるのだ。
「艦長」
「わかっている」
 艦長はその充実した設備の中の艦橋で部下達の言葉に応える。モニターには下から突き進んで来るそのシャバキがはっきりと映っている。右手を前に突き出しそのうえでスーパーマンの様にして来ている。
「まさかとは思うがな」
「しかし現実に移っていますし」
「本当に人間か?」
 艦長はふとこう言った。
「あの男は。人間なのか?」
「どうでしょうかね」
「かなり疑わしいと思いますが」
「あれは」 
 部下達も首を傾げながら言う。
「予言者とは言っていますが」
「妖術使いでは?」
「おそらくまともな人間ではありません」
「まともな人間でないのは間違いないな」
 その艦長の言葉だ。
「どう考えてもな」
「はい、そうですね」
「それは間違いありません」
「普通溶岩を出したり空を飛んだりはしません」
 常識で考えてそれが出来る筈がない。当然拳法でもだ。
「あの能力は一体」
「どういう原理なのでしょうか」
「科学的根拠は」
「さて」
 軍人というのは科学を元にして戦う。それでその科学的根拠を一切無視しているシャバキの行動を肯定出来る筈もなかった。間違ってもだ。
「あるのかどうか」
「そしてあの国は」
「どうなんだ?」
 しかしである。実際にシャバキは飛んできている。そうして巨大戦艦に近付いてだ。
 一直線に突き進んでだ。遂にであった。
 艦長もそれを見てだ。一つの決断を下した。
「よし」
「どうされますか?」
「撃ちますか?」
「そうだ、撃つ」 
 実際にそうすると。今はっきりと言い切ったのだ。
「あの男を撃つ」
「まああの男には非常事態も止むを得ないとされてますしね」
「天本博士とあの男だけは」
 連合では最悪のテロリストとされているのだ。
「それを考えたら」
「それだからこそだ」
「これも当然ですね」
「攻撃も」
「それも既に出ている」
 連合軍も容赦がない。
「それも大統領からだ」
「大統領命令ですか」
「そうだったのですか」
「そうだ、大統領閣下直々にな」
 命令を出したというのである。
「あの男には遠慮なく攻撃していいと言われている」
「では艦載機を出しますか」
「既に周囲に飛んでいますが」
「そうだな。艦載機で攻撃をさせよう」
 具体的な話にもなっていた。
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