第百九十九話 もてない君その一
もてない君
洪童はもてない。だがもてないのは彼だけではない。
カムイもだ。彼もであった。
「女の子いないのかよ」
「いるよ」
その彼に管が言う。
「世界の半分は女の子だよ」
「それは老若に性転換を入れてだな」
「うん」
相変わらず素っ気無い返答の彼である。
「そうだよ」
「ついでに言えば両性具有も入れてないか?」
「そういう人もいるね」
管の素っ気無い返答は続く。
「それがどうかしたの?」
「で、何が言いたいんだよ」
いぶかしむ顔で彼に返す。
「世界の半分がどうとかってな」
「だから女の子が欲しいっていうから」
「世界の半分がってか」
「そうなんだけれど」
「俺が言ってるのはそういうのじゃなくてな」
口を苦くさせて歪な形にしての言葉だった。
「あのな、彼女が欲しいんだけれどな」
「だから世界の半分がそうだよ」
「一人位いるっていうのかよ」
「連合の女の人の数二兆人」
管の言葉は続く。
「それを考えたら絶対に」
「流石に幼児とかお婆さんとかもう相手がいる人は駄目だろうが」
「それはそうだね」
「そうだね、じゃなくてな」
話が噛み合っていない。見事なまでにだ。
「俺は彼女が欲しいんだよ」
「だから相手は絶対にいるから」
「いるのかよ」
「運命の赤い糸」
今度出してきたのはこれであった。この時代においてもこの運命の赤い糸のことはよく知られている。それも連合中で、である。
「それがあるから」
「俺にもあればいいけれどな。中には生涯独身の人だっているしな」
「その時は諦めるといい」
「そうだな・・・・・・って諦められるか」
すぐに突っ込み返すカムイだった。
「そうそうな。絶対にな」
「諦めないんだ」
「諦めてたまるか、俺はとにかく彼女が欲しいんだ」
このことを力説するのであった。
「誰かいないのか?本当に」
「だから二兆人いる」
「それはいいんだよ。あんまりにも丼勘定過ぎてわかるかよ」
「そうなんだ」
「そうだよ。しかし管な」
「うん」
「誰か知らないか?」
あらためて彼に対して問うた。
「誰かな。知らないか?」
「知ってるよ」
管はここでこう答えたのだった。
「一人ね」
「おっ、知ってるのかよ」
「僕の従妹でね」
「へえ、それでどんな娘なんだ?」
無意識のうちに身を乗り出して問うていた。しかしここでこう言われたのであった。カムイにとっては衝撃の言葉であった。
「小学校一年生」
「・・・・・・待て」
目の色を消して管に返した。
「小学校一年生っていったら幾つだ?」
「六歳だけれど」
相変わらずの無表情で答えた管だった。
「駄目かな」
「俺は十七歳だぞ」
「十一歳違いの夫婦も多いから」
「犯罪だろうがよ」
今度は声を荒いものにさせていた。
「小学生に手を出したらよ」
「十年待てば」
「待てるかよ、っていうか俺はロリコンか!?」
「そういう趣味の人もいる」
「俺はロリコンじゃねえっ」
ムキになり肩を怒らせての言葉だった。
「誰がそんなことするかっ」
「駄目なんだね、じゃあ」
「当たり前だろうが。小学生はパスだ」
「そうなんだ」
「そこまでするか」
カムイはまた言った。
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