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第二十八話 素直じゃないのかそれともその一
                素直じゃないのかそれとも
 アンとギルバートは仲が悪いことになっている。少なくとも表向きはそうである。
「それが僕にはわからないんだ」
 ギルバートにはその理由がわからなかった。
「僕が何をしたんだ?」
 クラスの男組に対して相談していた。聞いているのはセドリックやマルコといった明るい面々であった。
「僕に思い当たるふしはないんだが」
「そうだよね」
 いつもはにこやかにきついことを言うセドリックもこれには同意であった。
「アンのあれは。ちょっと」
「そうだよな」
 ギルバートにはわからない。
「僕は普通にしているだけだが」
「暑苦しいんじゃないかな」
「おい、セドリック」
 マルコは彼の容赦ない言葉に思わず引いた。
「暑苦しい?僕が」
「うん、凄く」
 屈託のない笑みで述べる。
「それだけだね。本当に」
「けれどさ」
 マルコはセドリックの容赦のない言葉にかなり引きながらもギルバートに対して言ってきた。ギルバートは彼に対しても顔を向けてきていた。
「それだけでアンのあの態度はないからね」
「それはね」
 セドリックはマルコの言葉に頷く。
「ないよね、やっぱり」
「そうだよ。他にギルバートの悪いところってさ」
「ないんだよね」
 二人もそんなにギルバートが嫌いではない。かなり暑苦しいが彼は真面目でいいクラス委員だからだ。それで嫌う理由もなかった。
「では何故アン君はあんな態度を」
「ううん」
「どうしてだろ」
 聞かれた二人の方が頭を抱え込む。
「それはちょっと」
「何でかなあ」
「やはりわからないか」
 ギルバートはそれを聞いて難しい顔を見せてきた。しかしそれでも溜息をついたりはしない。それが彼の性格であった。意地が強いのである。
「御免ね」
 セドリックは謝ってきた。
「やっぱり」
「いや、頼んだのは僕だ」
 そう言ってそれはいいとする。
「しかし・・・・・・どうしてだ」
「僕達じゃちょっとわからないしね」
 マルコは述べる。
「ここは女の子にでも聞いたら?」
「そうだよね。それがいいかも」
 セドリックもマルコの言葉に頷く。
「ひょっとしたらそれで解決するかも」
「そうか」
 ギルバートはそれを聞いて顔を上げた。
「なら」
「誰に相談するの?」
「ビアンカ君にな」
 ギルバートは答えた。二人はそれを聞いて少し考える目を見せてきた。それからまたギルバートに述べてきた。
「悪くないかも」
「けれどさ、ビアンカって」
 ここでセドリックが言う。
「同性愛者だったよね。わかるかな」
「だからわかるんじゃないかな」
 マルコは彼にこう返す。
「女の子が好きなら女の子のことが」
「そうかな」
「いや、そこまでは考えていなかったが」
 ギルバートは述べる。
「彼女はしっかりしているからな。それで」
「それでなんだ」
「まあ妥当だね」
 二人はまたそれに頷く。
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