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第百九十一話 日々の練習その七
「任せておくのよ」
「女西郷って」
「先生身体細いじゃないですか」
「それで西郷さんなんですか?」
「それに先生ってどの国の出身なんですか?」
 言うまでもなく西郷は日本人である。
「今まで考えたことなかったですけれど」
「実際はどうなんですか?」
「何処の国の生まれなんですか?」
「日本だけれど」
 その日本だというのである。
「それがどうしたの?」
「日本人だったんですか」
「成程」
「はじめて知りました」
 なお連合では混血の結果外見だけで国籍がわかるものではない。誰がどの国かというと本人の言葉を聞かないとわからないのである。
「それは」
「日本人だったんですか」
「てっきりエウロパのスパイだって思っていました」
「私も」
「ちょっと待ちなさい」
 エウロパと聞くとだった。先生も平穏ではいられなかった。目を座らせてそのうえで部員達に対して言い返した。
「誰がエウロパ人ですって?」
「冗談ですけれど」
「それだけには見えませんから」
「ねえ」
 これには確かな理由があった。
「だって先生お肌アジア系じゃないですか」
「そのお肌だって少し黒いですし」
「そういうのを見たら」
「エウロパ人には見えませんから」
「絶対に」
「先生の誇りよ、このお肌は」
 ただ奇麗なだけではないというのだ。その黒人のものも入ったアジア系の肌はだ。
「お爺ちゃんは黒人なのよ」
「それで少し黒いんですね」
「それでなんですか」
「先生を育ててくれたのはそのお爺ちゃんなのよ」
 こんな話にもなった。
「それで今があるのよ」
「立派なお爺ちゃんなんですか?それじゃあ」
「先生にとってはやっぱり」
「それはね。先生はね」
「先生は?」
「家庭の事情でお爺ちゃんに引き取られたけれど」
 どうやら複雑な話があったらしい。世間にはわりかしよくあることだ。
「そこで教えてもらったのよ」
「音楽とかをですか」
「そのお爺さんに」
「今丁度八十歳でね」
「まだお若いんですね」
「先生のお爺ちゃんだとすると」
 八十歳はまだ連合では平均寿命には達していない。この時代の連合では平均年齢は男女共に百歳まで超えているのである。
「じゃあそこまでなりますよね」
「いや、もっと若くてもいいかな」
「そんな年齢じゃないの?」
 年齢についての考えはまさにそれぞれであった。
「やっぱりさ」
「そうかしら」
「まあ年齢はいいとしてね」
 先生はまた言った。ここで言うのは先生のその祖父のことである。
「もう曾孫もプレゼントしたしね。まずは二人ね」
「まずはですか」
「これからもなんですね」
「五人は欲しいから」
 連合では子供が多ければ多いだけ補助金や様々なサービスが得られるようになっている。それにより少子化を防ぎそのうえで人口を増やすように促しているのである。多産を奨励しているのだ。
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