第百八十九話 明香の日常その一
明香の日常
朝はだ。目覚ましで起きるのではない。
部屋の中に猫が入って来る。家で飼っている猫だ。
しかも一匹や二匹ではない。五匹いる。それがいっせいに部屋の中に入って来るのだ。そしてそのうえで彼女の寝ているベッドにまで来るのである。
「ニャア」
「ナア」
「ンナア」
「ええ、わかったわ」
猫達の呼び声に応える形で起きてであった。
そしてそのまま下に降りて猫達に御飯と水をあげる。御飯はキャットフートだ。
それをあげてから今度は姉を起こす。彰子は自分の部屋のベッドの中だ。
「姉さん」
「うん・・・・・・」
「姉さん」
「うん・・・・・・」
声をかけても中々起きない。
「起きて」
「今何時?」
「六時よ」
「まだ早いじゃない」
「部活の朝の練習があるから」
ここでこう言ったのである。
「だから起きて」
「部活の?ああ、そうね」
それを言われるとであった。彰子も少しずつだが起きてきた。
そうしてであった。そのうえで言うのだった。
「朝起きてそれから部活よね」
「そうよ、ランニングとかあるから」
「わかったわ」
ここまで聞いてであった。ようやく目を開けた。それからであった。
「それじゃあ後は」
「御飯食べましょう」
「カレー?」
「温める?」
「別にカレーでなくていいんじゃない?」
言いながら身体を起こす。そしてベッドの中で身体を伸ばしてから言うのだった。
「それは」
「別にいいの」
「あっためたらそれだけ時間がかかるし」
まず言うのはこのことだった。
「それに洗いものもね」
「手間がかかるのね」
「だからいいじゃない」
これが彰子の意見だった。
「簡単なので。お漬物があるからそれで食べましょう」
「お味噌汁は?」
「それもいいわ」
それもだという。どうやら朝はあまり食欲がないらしい。」
「別にね」
「それもいいの」
「ええ、いいわ」
やはりいいというのだった。
「どっちもね」
「カレーもお味噌汁も」
「白い御飯とお漬物の二つがあれば」
かなり質素ではある。
「それだけでいいから」
「それじゃあそれでいいわね」
「そうね。納豆があればそれをかけて食べて」
「パンもあるけれど」
「じゃあそれでいいわ」
パンがあるならそれでいいというのだ。やはり朝は食欲がないらしい。それが表情にも出ていて髪もかなり乱れた様子になっている。
しかしとりあえずベッドから出てだ。二人でリビングに出てだ。朝食を食べはじめた。
その食パンにジャムを塗っている。苺ジャムだ。
そのパンを食べているとだ。彰子は次第に目が覚めてきていた。
そうしてだ。ふと明香に話してきた。
「今日だけれど」
「朝の部活ね」
「そう、それがあるから」
「しっかり食べないといけないのね」
「朝は大事だから」
明香の言葉は真面目なものだった。
「しっかり食べないといけないけれど」
「いつも以上になのね」
「ええ、食べて」
しっかりとした言葉だった。
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